長野は天皇杯長野県予選決勝で、松本にPK戦の末に勝利。序盤に先制を許すも、その後はおおむねペースを握る。決め手を欠く展開が続いた中で、90+2分に忽那 喬司のFKでようやく追いついた。試合は1-1のまま延長戦でも決着がつかず、PK戦に突入。GK松原 颯汰のセーブもあり、4-3と上回った。
長野県代表として、2年連続で本戦に進出。試合後、髙木 理己監督は本戦に向けてこう話した。
「僕は親父をコロナで亡くしている。親父が元気なときに、元旦の天皇杯(決勝)を2人で観に行くのが恒例になっていたことがあった。いろんな光景を親父と国立で眺めてきたので、僕にとっては大事な大会」 2011年度大会では京都のコーチとして、元日の決勝に進出した。FC東京に2-4と敗れて準優勝に終わったが、「いつもスタンドで親父と見ていた試合を、ベンチに座って戦うことができた」と思いを馳せる。長野としては12回目の出場となる今大会。指揮官の感情を汲み取りつつ、松原の言葉を借りれば「長野県代表として恥じないプレーで戦っていきたい」ところだ。
直近のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦・札幌戦では、PK戦の末に敗退。18分に小西 陽向が先制点を決め、その後も多くのチャンスを演じるも、追加点に至らない。終盤にかけて押し込まれる展開となり、土壇場の90+6分に追いつかれる。1-1で延長戦に突入すると、120分でも決着がつかず、最後はPK戦で3-5と上回られた。
明治安田J3では現在9位。自動昇格圏とは勝点3差で、射程圏内にある。リーグ次節はアウェイで首位・大宮との大一番を控えており、そこにはずみをつける意味でも重要な一戦だ。髙木監督は「札幌戦で悔しい思いをしたので、それを取り返すこと。同じ舞台にはもう立てないので、天皇杯で勝ち上がることで悔しさをぶつけていきたい」と意気込んだ。
対する猿田興業は、秋田県予選決勝でノースアジア大に1-0と勝利。秋田県代表として、2021年度大会以来三度目の本戦に進んだ。所属する東北社会人リーグ2部北においては、昨季は6位の成績。そこから後期下位リーグに回り、優勝を収めている。今季は初戦を6月2日に控えており、はずみをつけたい思いは長野と変わらないだろう。
直近の天皇杯での戦歴も振り返りたい。長野は前回大会で2回戦まで勝ち進むも、J1神戸に1-3と敗れた。最高成績は2013年と2017年のラウンド16進出。J1の名古屋やFC東京を打ち破るなど、下克上の経験も豊富だ。
一方の猿田興業は、前回出場した2021年度大会1回戦において、J3八戸に0-13と大敗。これまで2回の出場歴があるものの、いずれも1回戦の壁に阻まれている。ここで三度目の正直となるか。
勝者は6月12日に行われる2回戦で、東京Vと対戦する。J1クラブと相まみえる権利をつかむのはどちらか。
[ 文:田中 紘夢 ]
