ACLの戦いが終わり、J1昇格に向けてリーグ戦を戦っている甲府は、ここ1カ月ほどは常に10人近いケガ人が発生している苦しい状況で、負け数が勝ち数を上回って現実的な目標を(クラブとして明言しているわけではないが)自動昇格からJ1昇格プレーオフ経由に変えざるを得ない現状にある。リーグ前節は仙台に1-1で引き分けて連敗を『3』で止め、7試合続いていた複数失点もストップ。勝って悪い流れと数字を止めることがベストだったが、最悪ではなくなった。このHonda FC戦は勝利で流れを変える一戦にしたい。
Honda FCはJFL第8節・クリアソン新宿戦から3連勝して9日に行われた第11節・ヴィアティン三重戦を迎えた。この試合は、天皇杯2回戦を中2日で迎えることを考慮したのか、メンバー表を見る限りでは3連勝時のメンバーから半数近く入れ替えているように見える。この辺りは小林 秀多監督が2回戦後の会見で話すことになるかもしれないが、ヴィアティン三重には0-2で敗れ、順位を3位から5位に下げた。
Honda FCはJリーグ黎明期の鹿島や読売サッカークラブ時代を含めた東京Vに多くの人材を輩出している伝統あるチーム。甲府と縁のある選手で言うと、2006~08年まで甲府で活躍した宇留野 純はHonda FCを経て甲府に加入しており、2007~09年まで甲府のスピードスターだった久野 純弥はキャリアの最後3年をHonda FCでプレーしている。また、Honda FCを経てC大阪などで活躍した古橋 達弥は、現在はHonda FCでアナリストを務めている。いまも昔もこれからも、日本のサッカー界に幅広く人材を送り出す、受け入れるクラブだ。昨年度の天皇杯は2回戦でJ1鹿島に0-3で敗れているが、JFA TVのダイジェスト映像を見ると、カテゴリー3つの差を感じない戦いぶりだった。
今大会も、Honda FCにとってはJリーグ勢を倒すことがモチベーション、存在価値の証明につながる。甲府の篠田 善之監督はHonda FCの印象を「大卒のしっかりした選手を着実に獲得しているチーム。ハードワークができるし、(リーグ)前節で対戦した仙台に似ている部分もある。違う点は長いボールを入れてセカンドを拾ってクロスを入れてくるところ。清水とのトレーニングマッチで勝っているので、力があることは間違いない。甲府としてはサイドで簡単にクロスを上げさせないことや、前線からの追い方などが大事になる」と話す。
甲府としては思うような結果を得られなかったリーグ前半戦と後半戦の間の天皇杯2回戦であり、後半戦につなげる試合。相変わらずケガ人が多く出ているため台所事情は非常に厳しいが、その中で若手が躍進するというか、「Honda FC戦で勝利に貢献する活躍ができなければ後半戦のチャンスがない」というくらいの危機感を持って挑めるか。プロとして“雄”だろうが“門番”だろうがアマチュアのチームに負けることは、自分たちのプライドもサポーター・ファンも許さない。それぞれ事情や置かれた立ち位置は違うが、いまの甲府はチーム状況が悪くてもプロの意地で勝たないといけない。この意味でHonda FCは敬意を持って挑み、倒せば得るものが大きい相手だ。
[ 文:マツオ ジュン ]
