格下のチームが格上のチームに勝利する、いわゆるジャイアントキリングが大会の醍醐味とも言われる天皇杯だが、千葉が下位カテゴリーと対戦するのは2018年以来、6年ぶりとなる。その際、JFL所属で青森県代表として出場したラインメール青森に勝利はしたが、PK戦までもつれる苦戦を強いられた。
その後は新型コロナウイルス感染拡大の影響で出場しなかった2020年を除き、同じJ2、またはJ1のチームとの戦いが続いていたが、この2年は初戦となる2回戦で敗退。特に現在所属している選手たちの多くにとっては悔しい思いをした大会となる。
下部カテゴリーとの対戦は、挑戦者として普段以上の力、モチベーションで挑んでくる相手に対しての難しさを強いられることが多いが、連戦の最中でメンバーを変更することによる難しさもあるだろう。
その点においては、今年の千葉は一味違う。普段のトレーニングはもちろん、公式戦でメンバー入りできなかった選手たちのトレーニングの強度や雰囲気の良さを小林 慶行監督は常々話しており、チーム内の競争力は高い。
4月下旬に負傷し、直近の明治安田J2第19節・山口戦で先発復帰するまで、控え組としてトレーニングを重ねていたキャプテンの鈴木 大輔も、「メンバー外の選手の努力を見られたし、自分が休んでいる1カ月の間にもいろいろな選手が出て、今までチャンスをもらっていなかった選手が結果を出した。ずっと試合に出ていると見えないようなことが見えた時期だった」と試合に出ていない選手たちの努力に感化されたことを明かしていた。
その努力が結果に表れたのが第14節・横浜FC戦だった。第13節・いわき戦から中2日で臨んだこの試合はスタメンを8人替えて臨んだが、普段試合に出ていない、あるいは出場回数や時間が限られている選手たちが気持ちを前面に出し、上位に1-0で勝利した。あの試合の熱量は現在のチームにとって、基準とすべき戦いになっている。
約1カ月ぶりのアウェイでの勝利、約2カ月ぶりの連勝となった山口戦から、天皇杯2回戦を挟み、J2次節の徳島戦までいずれも中3日となる試合でメンバーにどれほどの変化があるかは分からないが、大幅な変更があったとしても代わって出場する選手たちは普段の熱量をそのままこの試合でも出していくことだろう。
もちろん、熱量では中京大も負けていないはず。現役時代は富山や町田でプレーした吉井 直人監督が率いるチームは、すでに愛知県代表決定戦でJFLのFC岡崎マルヤスを下している。来季の柏への加入が内定している桒田 大誠、同じく大分への加入が内定している有働 夢叶を擁し、特に桒田は大学ナンバーワンCBとの呼び声も高い。JFLのチームに続き、Jリーグのチームに勝利すべく、大いなる野望を持ってフクアリに乗り込むはずだ。
本来の地力に差があるため、先制点の行方は普段の試合以上に勝敗を左右するだろう。千葉が早い時間に先制できれば、前線からボールを奪いにいって素早く攻撃に転じる攻撃サッカーに拍車がかかる。一方、中京大が桒田を中心とした堅守で無失点の時間を続け、千葉を焦らせることができれば、番狂わせの可能性も高まっていくはずだ。
ピッチとスタンドの距離感も含めて熱気あふれる雰囲気になるフクアリでの一戦。普段ホームスタジアムとして戦う千葉はもちろん、中京大の選手や関係者もなかなか味わえない雰囲気を存分に楽しみながら、全力を尽くしてほしい。
[ 文:菊地 正典 ]
