藤枝を率いる須藤 大輔監督は「非常に楽しみです。鹿島は勝者のメンタリティーを持った常勝集団で、スピリットがあるチームだと思います。そういうチームをホームに迎えられることは(※藤枝総合運動公園サッカー場での開催だが、中立地扱い)、ホームタウンにとっても大きなことですし、われわれも受けに回るんじゃなくて、いまその常勝集団に対してどのぐらいできるのか、クラブとしての価値というのを見せたいと思っています」と、この戦いに大きな価値を見いだしている。
“元祖サッカーの街”と言われる藤枝市をはじめとするホームタウン4市2町の人たちも、いまの藤枝が鹿島に対してどれだけやれるのか、非常に楽しみにしているはずだ。
今回はリーグ戦の合間に開催されるミッドウイークのゲームで、鹿島も藤枝も最近の猛暑を考えてもメンバーをある程度替えてくることは予想される。ただ、藤枝のほうは鹿島に対して自分の力がどれだけ通用するか試したいと考える選手が多く、リーグ戦組でも「出たい!」とモチベーションを高めている選手もいる。また、リーグ前節の水戸戦では、杉田 真彦や川島 將といった精神的支柱や10番の榎本 啓吾に出番がなかったため、彼らは特にこの試合を楽しみにしているはずだ。
試合展開に関しては、格上の鹿島としては特に小細工をする必要はない。鹿島らしいサッカーで立ち上がりから厳しく圧力を掛けてくるだろう。「(鹿島は)個人の質も強度も高い」と須藤監督は言うが、前からプレスを掛けてくる圧力に対して、どれだけ藤枝が冷静に対応できるかが問われてくる。
もちろん藤枝としても、“ハイライン・ハイプレス”の攻撃的なサッカーを鹿島に対してどれだけ表現できるかが最も楽しみな部分であるため、初めから守備的に戦うことはないだろう。「腰の引けた戦いは絶対にしない」とキャプテンの杉田が言うように、相手の様子を見るというより、立ち上がりからエンジン全開で前からプレッシャーを掛けていくことが予想される。そうした激しいプレスの掛け合いの中で、どちらがペースをつかめるかが注目点となる。
そんな中で鹿島が主導権を握る時間帯は出てくるだろうが、藤枝はミドルゾーンにコンパクトなブロックを敷いて堅実に守るという戦い方を引き出しの1つとして昨季から培ってきた。そうした展開になった際に、鹿島が攻め切れるか、藤枝が守り切れるか、また藤枝がボールを奪って効果的なカウンターを仕掛けられるかという部分も見どころとなる。
鹿島のほうも堅守とカウンターは武器の1つであるため、藤枝としては攻撃時のミスが多くなれば、鹿島の術中にハマるリスクが高くなる。それによって早い時間に先制されてしまうと非常に苦しくなるため、アグレッシブさとリスク管理のバランスをどれだけスキなく保っていくかという部分も大きなポイントとなる。
鹿島が横綱相撲で勝ち切るか、藤枝が個の力の差を組織力や野心で補って金星を挙げるか。見どころは非常に明確なので、観る側としても分かりやすく存分に楽しめる一戦となるはずだ。
[ 文:前島 芳雄 ]


