明治安田J3でここまで5勝5分3敗、7位につけている奈良は、「勝つために何をすべきか、そのために何を乗り越えなければならないかなど、選手・コーチングスタッフの全員が勝ち方を知っているチームにしていく」(中田 一三監督)ために、第9節を1つの節目に、1段上の新たな成長のフェーズに入っている。
そのうちの1つがシステム変更。中田 一三監督が昨年9月に就任してからは、当時の失点の多さを早急に改善すべく3バックでの陣形を敷いてきたが、今季のJ3第10節以降は主に4バックを採用している。今季序盤は、先制を許したあとにエンジンがかかるようなきらいもあり、失点を得点力でカバーして勝点を積んできたが、新たなフェーズに入ってから約1カ月の間に臨んだ天皇杯奈良県予選準決勝、決勝を含めた公式戦6試合では、4勝1分1敗。JリーグYBCルヴァンカップを含めてJ3第9節までにも複数失点を喫したのは3試合のみだったが、さらに守備の質が向上し、前述の6試合のうち4試合で無失点。確実に“勝つため”の戦い方ができるよう、進化し続けている。
天皇杯奈良県予選には準決勝から出場し、4年連続16回目の本戦出場を勝ち取った。準決勝では、ポルベニルカシハラNEXTに3-0、決勝では飛鳥FCに2-0。いずれの試合も、クリーンシートで勝ち切った。この1回戦もリーグ戦と同様に、目の前の試合に勝利することだけにフォーカスし、臨む。
対する新潟医療福祉大は、新潟県予選には準々決勝から出場し、2年ぶり8回目の本戦出場を勝ち取った。準々決勝では、新潟経営大FCに4-0、準決勝では島見FCに4-0で勝利。前年と同じカードになったJAPANサッカーカレッジとの決勝では、延長戦の末に4-2で前年の雪辱を果たし、新潟県王者へと返り咲いている。
今年で創部20周年を迎える新潟医療福祉大を率いるのは、かつて桐光学園高で中村 俊輔(現・横浜FCコーチ)や福森 晃斗(現・横浜FC)など、多くの選手を育てた佐熊 裕和監督だ。2014年に就任し、2022年の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)で初めて準優勝すると、昨年には総理大臣杯とインカレで準優勝。近年示してきた力が確かなものであることを世間に強く印象づけた。これまで20名を超すJリーガーを輩出してきたが、今年もすでに、主将を務める細井 響がJ1横浜FCに、新潟県予選決勝で先制点を挙げた吉田 晃盛がJ3北九州に来季加入することが内定している。
細井 響に関しては、JFA・Jリーグ特別指定選手として横浜FCの公式戦にこれまで2試合出場。デビュー戦となったルヴァンカップ1stラウンド2回戦・北九州戦では、新潟医療福祉大にとって史上初となる在学中の先発入りを果たした。北九州戦、3回戦・町田戦のいずれもフル出場し、横浜FCのプレーオフラウンド進出に貢献している。21日に行われた3回戦はPK戦までもつれ込む激闘となったが、天皇杯1回戦までは中2日。チームの大黒柱である細井 響の出場可否が注目される。
奈良は前回大会の1回戦で、その前年に関西学生リーグ1部初優勝、インカレで準優勝した京都産業大を3-2で撃破。2年連続で前年好成績の大学生チームをプロの威厳で退けるか、それとも新潟医療福祉大が記念イヤーにふさわしい躍進の一歩目とするか。試合は24日、13時にキックオフする。
[ 文:前田 カオリ ]


