昨季、ロティーナ監督の下で新たなプレーモデル構築に取り組んだC大阪は、シーズン序盤こそ低迷するも、戦術が浸透し始めた中盤戦以降は順調に勝利を重ね、終わってみれば5位と健闘。“改革の1年”としては上々のシーズンとなった。右肩上がりで成熟した昨季を踏まえ、今季、クラブが設定した目標は「リーグ優勝」(森島 寛晃社長)。まだ見ぬ頂へ向かって歩みを進める1年となる。
戦力的には、昨季の中心選手がほぼ残り、レギュラークラスで抜けたのは水沼 宏太(横浜FM)のみ。昨季リーグ最少失点を達成した守備陣はそのまま残り、攻撃陣の上積みとして、ベルギーのオイペンから豊川 雄太、昨季J2でブレイクした山形の坂元 達裕を補強。また高校年代トップクラスのアタッカー・西川 潤も獲得し、昨季は大ケガでシーズンの大半を棒に振った都倉 賢も復帰。層の厚みは増している。
1週間前に行われたJリーグYBCルヴァンカップBグループ第1節・松本戦では、昨季の公式戦では一度もなかった4得点を奪うなど、層の厚みを増した攻撃陣が早くもその威力を見せつけた。リーグ開幕戦となる今節も、新たな力を加えて切磋琢磨を続けている攻撃陣がどのように大分ディフェンスを打ち破っていくか、注目される。
一方の大分も、J2から昇格を果たして臨んだ昨季は、当初の目標であるJ1残留を大幅に上回る立派な成績を収め、成功と呼べる1年を送った。名将・片野坂 知宏監督に率いられたチームは、開幕戦で鹿島を敵地で撃破すると、勢いそのままに、成熟したスタイルでシーズン序盤は“大分旋風”を巻き起こした。もっとも、夏に藤本 憲明が神戸へ移籍し、得点源を失うと、相手からの研究が進んだ終盤戦は失速感も否めなかっただけに、J1復帰2年目となる今季はJ1定着へ向けての正念場。ここまで育んできたスタイルを進化させていくとともに、さらなる上積みも求められる。
C大阪と同様、大分もディフェンス陣は昨季のレギュラー陣が盤石。注目は、大幅にメンバーが入れ替わった攻撃陣になる。オナイウ 阿道(横浜FM)と後藤 優介(清水)が抜けたFWには、川崎Fから知念 慶、広島から渡 大生を獲得。2列目にも、野村 直輝、町田 也真人と多彩な顔ぶれが加わった。この持ち駒をどう生かし、得点力に還元していくか。片野坂監督の采配に期待したい。
じっくりとスタイルを形作ってきた両監督のチームは、後ろからボールを動かすゲームモデルも共通している。どちらがより効果的に相手のペナルティーエリア内に入っていけるか、刻一刻と変化するピッチ内の事象にも目を凝らしたい。その上で、新たな力が加わった両チームの攻撃陣が新シーズンの幕開けでどのような躍動を見せるか。大いに期待したい一戦だ。
[ 文:小田 尚史 ]