「この日をわれわれのファンの皆さんと同じように待ちわびていた。選手たちにはサッカーができる喜びをピッチで表現してもらいたいし、それをファンの皆さんにも感じてほしい」と宮本 恒靖監督が力強く言い切った言葉を体現する上でうってつけのカードが、パナソニック スタジアム 吹田で行われる。
“大阪ダービー”。G大阪とC大阪に携わるすべての人が、格別の思いを抱くのが、大阪の覇権を懸けたこの戦いだ。
公式戦では過去48回実現してきた“大阪ダービー”は、両チームのサポーターにとっても歓喜と屈辱をかみしめる場であり続けた。
しかし、49回目を迎える激闘はダービー史上初めてとなるリモートマッチで行われることになる。
もっとも、コロナ禍の中であらためてサッカー人であり続けることへの感謝を知った選手たちは、従来のダービー以上のモチベーションで再開初戦に挑むことになりそうだ。
「リモートマッチで難しいかもしれないけど、ダービーは特別。ホームでやるし、絶対に負けられない」と意気込みを語るのは井手口 陽介だ。
開幕戦では前年王者の横浜FMを研究し尽くした対策が奏功。9年ぶりの白星発進となったG大阪だが、チームが目指すのは前線からアグレッシブにプレスを掛けるハイプレスサッカー。過密日程が待つ夏場には“プランB”も腹案に入れる宮本監督だが、C大阪戦に送り出す顔ぶれにまず注目だ。
「同じ街にあるクラブ同士の負けられない試合で、どんな試合であれダービーは勝たなければいけない」(宮本監督)。現役時代からダービーの重みを理解してきた指揮官は昨年5月にホームで行われたダービーで3バックの新布陣をぶっつけ本番で用いたり、同年9月のアウェイのダービーでマルケル スサエタを初先発させたりと“サプライズ”も用意してきた。
2月に加入した昌子 源は古傷の足首の状態が万全でなくG大阪デビューは難しそうだが、多彩な人材がそろうだけに、宮本監督が送り出すメンバーにまずは注目だ。
一方のC大阪も開幕戦では大分相手に1-0で勝利。ブルーノ メンデスがCKから決勝点をもぎ取り、白星スタートを飾っている。「昨季からロティーナ監督の下でソリッドなサッカーをしている。去年は1勝1敗だったが、ダービーというのは特別な試合」と宮本監督もスペイン国籍の指揮官が作り上げてきた手堅いスタイルへの警戒感を口にする。
清武 弘嗣や柿谷 曜一朗はもちろんだが、1-3で敗れた昨年9月のダービーで先制点を許しているブルーノ メンデスら警戒すべきタレントは多い。
おのずと燃え上がる要素が盛りだくさんの今回のダービーは、Jリーグの歴史に残る一戦になる可能性も十分だ。G大阪の大黒柱である遠藤 保仁がピッチに立てば、J1リーグ戦で最多となる632試合出場の大記録を達成することになる。
偉大なる記録が懸かる一戦がリモートマッチとなるのは残念ではあるが、画面越しに歴史的な瞬間を目撃していただきたい。
[ 文:下薗 昌記 ]
