JリーグYBCルヴァンカップとリーグ戦それぞれの開幕戦後の4カ月のブランクは、再開初戦をもう一度、開幕戦と同等の情報戦へと突入させている。昨季も熱い駆け引きを繰り広げた大分・片野坂 知宏監督と鳥栖・金 明輝監督とが、交代枠5人制となった今節、どういうプランをぶつけ合うかは大きな見どころの1つだ。
鳥栖は5月14日の緊急事態宣言解除を受け、その翌日にJ1クラブで最も早くトレーニングを再開した。完全非公開のためその全貌はうかがう余地もないが、リーグ開幕の川崎F戦ではシュート3本にとどまり相手に19本のシュートを打たれてなお、スコアレスドローに持ち込みアウェイで勝点1を挙げた展開が注目される。
昨季もフェルナンド トーレスやイサック クエンカ、金崎 夢生らパワーのある攻撃陣が前線に並んでいたが、今季はレンゾ ロペスやチアゴ アウベスらを強力な軸に、細やかで組織的に動けるプレーヤーも加わって攻撃のテイストが変化したとともに、守備の連動性も高まっている。
大分の守護神・高木 駿は「コンビネーションを駆使されると守備の焦点を絞りづらく、厄介になりがち。ただ、僕たちも組織で戦うチームなので、こちらが全員でハードワークしてコンビネーションを発揮し、相手のスキを突くところで負けないようにしたい」と話した。
大分にとっては、待ちかねていたホーム開幕戦だ。リモートマッチではあるが、スタンドにはサポーターたちの支援による『トリボード』が並んで後押しする。ルヴァンカップDグループ第1節の湘南戦も、J1第1節のC大阪戦も無得点で敗れているため、今季初得点、初白星にかかる期待は大きい。今季、川崎Fから期限付き移籍加入した知念 慶のフィット感も高まっているようだ。
中断期間には新戦術も導入したが、実戦で有効に機能するレベルにはあと一歩という話もある。ただ、展開によってはお披露目の可能性もあるかもしれず、理論派スタッフぞろいの大分のさらなる進化が注目される。
ただ、何よりも問われるのは、長いブランクを経てのチームの闘志だ。メンタルを含めてコンディションがどれだけ高まっているか、チームとして戦う態勢になっているか、イレギュラーな環境下でどれだけサッカーそのものに集中できるか。サッカーができずに悶々と過ごした日々から日常に一歩近い状況へと戻ってきた喜びをプレーに還元し、リモートマッチの向こうにいるファンやサポーターたちの力を感じながら、白熱の“九州ダービー”を演出してもらいたい。残留争いという憂いが取り去られた今季、迷いなく自らのスタイルを表現できた側に、勝利の女神がほほ笑む。
[ 文:ひぐらし ひなつ ]
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