鳥栖は再開初戦となった前節、アウェイで大分との“九州ダービー”に臨んだ。3バックを敷く大分のウイングバックに対して守備を意識するあまり、全体の重心が下がってしまい、前半は自分たちの思ったような形が作り出せなかった。修正を施した後半は守備の対応こそ向上したものの、ミス絡みから2失点。攻撃でも本来志向するような形を見せることができずに無得点。今季初勝利をつかむことはできなかった。チームとして気になるのはやはり攻撃面だろう。今季は公式戦を3試合戦っているがいまだ得点がない。さらに言えば、昨季もラスト3試合は無得点に終わっており、シーズンをまたいでいるとはいえ、6試合連続で得点がない状況だ。大分戦後、攻撃面について「もっといろんな質を上げなくてはならない」と金 明輝監督も語っているようにチームの悩みの種になっている。チャンスがないわけではないだけに、フィニッシュの質もカギを握る。攻撃陣の責任だけではなく、セットプレーなどを含めて、チーム全体で得点を奪いにいく姿勢、メンタリティーが求められる。
一方の神戸は再開初戦でホームに広島を迎えた。立ち上がりからボールを握る展開で試合を進めるが、広島の強固な守備の前に得点を奪うことができない。前半にセットプレーから先制を許すと、後半にも広島の鋭い攻めから2失点。ボールは握るものの、広島の試合巧者ぶり、そしてフィニッシュの質の前に0-3という結果に終わった。「ボールを保持してチャンスは作れていたし、そのチャンスをモノにできなかったというのがこちらとしては一番痛かった点かなと思っています」と試合後にアンドレス イニエスタが語っているように、神戸もフィニッシュの質という部分に課題が残っている。絢爛豪華なタレントはそろっているだけに、本来の実力が発揮されることが待たれる状況だ。
昨季、このカードはフェルナンド トーレスの引退試合として世界中から視線が注がれた。しかし、結果は6得点を奪う圧巻の攻めを見せた神戸が鳥栖に圧勝。鳥栖にとってはその悔しさを晴らすための機会にもなる。注目したいのは金 明輝監督がどういう構えを見せるのかという点。鳥栖も神戸もボールを握り、主導権を持ちたいタイプのチームだが、鳥栖としては同じ土俵で真っ向勝負を仕掛けるのか。それとも、前節の広島を参考にある程度構えて速攻から得点を奪いにいくのか。連戦の2試合目となるだけに、体力面も考慮した指揮官の裁量は試合の行方を大きく左右することになりそうだ。
鳥栖は今季、若い選手が増えただけに早い段階でチームとしての自信をつかみたいところ。勝利のためには得点が必要であり、選手個々の得点への意欲が求められる。鳥栖にとってはホームで迎える初めてのリモートマッチ。画面の向こうのサポーターに8カ月ぶりの勝利を届けたい。
[ 文:杉山 文宣 ]
