名古屋は前節、3連勝中と絶好調のC大阪と対戦。「われわれの現在の力を知るためにちょうど良い相手」と、マッシモ フィッカデンティ監督は試合前に相手へのリスペクトを語っていたが、CKからのオウンゴールと阿部 浩之のスーパーゴールで2-0の勝利。特にCB、ボランチを中心とした守備は盤石で、後半はほとんど相手にチャンスを与えなかった。
一方で鳥栖が対戦したのは、こちらもスタートダッシュに成功し上位につけていた広島。ホームの鳥栖は先発メンバーを4人変更して今季初勝利を狙った。しかし、アグレッシブに戦いチャンスも多く作ったものの、最後までゴールネットを揺らすことはできずに0-0の引き分け。昨季から続く公式戦の連続無得点試合が『8』に伸びてしまった。
現在のチーム状況を鑑みれば名古屋が有利と思われるかもしれないが、そう簡単にいかないのがサッカーの醍醐味だ。というのも、鳥栖の金 明輝監督は、2018年にマッシモ フィッカデンティ監督が鳥栖を指揮していたときにコーチとして一緒に仕事をしていた仲。名古屋では当時よりも攻撃的なサッカーを展開したいとイタリア国籍指揮官は言っているが、その戦術は熟知しているだろう。
とはいえ逆もまた真なりで、マッシモ フィッカデンティ監督は鳥栖の特徴をしっかり把握できている。指揮官同士の戦術面での駆け引き、交代カードの切り方にも注目したい。
そして、両チームは選手の往来も盛んだ。名古屋には今季開幕後に移籍してきた金崎 夢生をはじめ、吉田 豊、山﨑 凌吾と元鳥栖の選手がいる。逆に鳥栖のほうではストライカーの豊田 陽平、今季京都から加入した小屋松 知哉が古巣対戦となる。特に豊田はこのカードに並々ならぬ思いを持っているだけに、1つのキーポイントになるかもしれない。
名古屋で注目したいのも攻撃陣だ。守備に安定感が増した一方で、前節の得点も狙っていた形とは言い切れない。ペナルティーエリア内でボールタッチした回数も少なく、カウンターも最後の精度を欠く場面が多かった。「攻撃をもう少し積み上げないと」と、攻撃のカギを握る阿部も課題を語っているように、リーグ戦再開後、すべての試合で2得点しているとはいえ改善点は多い。さらに今節は契約上、金崎が出られない。替わりに出場すると考えられるのは、前田 直輝か山﨑だが、彼らも含めてチームとしてゴールを奪い取る道筋を見いだしたい。
名古屋サポーターにとっては、この試合から5,000人以下の制限付きだが、ようやく生で選手たちのプレーを見ることができる。これまでとは違い、声援やチャントを送ることはできないが、TV放送では聞けない迫力ある生音も楽しんでもらえるだろう。ぜひ両チームの好プレーに、“満員か”と錯覚するような目いっぱいの拍手を送ってもらいたい。
[ 文:斎藤 孝一 ]
