その試合、序盤は鹿島のペースだった。今季加入したばかりの広瀬 陸斗、永戸 勝也、いきなり古巣対戦となった和泉 竜司がチャンスを作り、名古屋ゴールに迫る。しかしGKとの1対1という絶好のチャンスを決め切れずにいると、前半終了間際に名古屋がFKを獲得。ペナルティーエリアすぐ外の角度のない位置から、マテウスが縦回転をかけたシュートを放つと、GKの頭を越えてファーサイドのゴールネットを揺らした。後半も鹿島が攻撃的に試合を進めるが、昨年の秋にマッシモ フィッカデンティ監督が就任してから守備の意識を強く持つ名古屋の牙城を崩せない。結局、名古屋が現在も大きな武器としているマテウスのFKで挙げた虎の子の1点を守り切り、代名詞となりつつあるウノゼロで勝利を収めている。
その後、新型コロナウイルス感染拡大防止のための中断期間を挟み無敗をキープした名古屋に対し、鹿島はAFCチャンピオンズリーグも含めて今季公式戦6連敗と苦戦が続く。初勝利は7月18日の明治安田J1第5節・横浜FM戦(4○2)まで待たなければならなかった。
しかし、昨季のJ1王者を倒した鹿島は本来の勝負強さを取り戻していく。8月26日に行われた第26節・FC東京戦は前半に先制点を許したものの、後半に2得点して逆転勝ち。前節も上位の柏を相手に土居 聖真が終了間際に2点を挙げて劇的な逆転勝ちと、勢いに乗って名古屋にリベンジを仕掛けてくる。
一方、安定した戦いを続けてきた名古屋だが、ここにきて不安要素が出てきてしまった。水曜日に行われたルヴァンカップ準々決勝でFC東京に0-3と大敗。3失点は今季初で精神的にも厳しい負け方をしてしまった。今節は鹿島が中6日あるのに対し、名古屋は中2日と日程的にも厳しい。いかに敗戦のショックから気持ちを切り替え、これまでのように強固な守備を築いていけるかが大切となる。
そして、勝点3を得るためにはやはり攻撃が必要。今季初めて川崎Fに土をつけた前々節は美しい連係でゴールを奪ったが、ワンチャンスを生かした形。前節の札幌戦も相手のペースに呑み込まれ、チャンスはそれほど多くなかった。過密日程で連係の構築は難しいだろうが、守備面だけでなく攻撃面でも選手同士が同じ絵を描けるように準備をしたいところだ。
[ 文:斎藤 孝一 ]
