長谷部 茂利監督の2年目となる福岡は、「攻守にアグレッシブに戦う昨季のスタイルを継続しながら、攻守における質と強度の向上を図り、リーグ戦では10位以内、それを達成するために必要だと想定する勝点50ポイント以上の獲得とルヴァンカップでベスト4以上」(長谷部監督)という目標を掲げて新シーズンに臨む。
昨季のJ2で最少失点を誇った堅守をベースとする戦い方になるだろうが、その守備面も宮 大樹や奈良 竜樹らJ1でのプレー経験を持つCBを獲得して強化。その上で中盤から前にも運動量が豊富で献身性の高い選手を獲得。組織的かつ積極的で、前向きな守備の向上に向けて万全の態勢となっている。
攻撃面では昨季披露した組織的な崩しに加えて、杉本 太郎、渡 大生、金森 健志などドリブルによる突破が可能なアタッカーを獲得し、個人打開の割合の増加、それによる総合的なパワーアップと得点力アップを狙う。昨季、C大阪でトップスコアラーとなったブルーノ メンデスの加入もあり、「無失点と複数得点を毎試合狙う」との長谷部監督の狙いが実現できれば、今季掲げた目標達成に近づくはずだ。
対する名古屋は、昨季の3位という好成績に貢献した選手のほとんどが残留。その上で、2010年以来となるリーグ制覇とACLではベスト4以上の成績を手にするために、各ポジションで的確な補強と、それによる競争力を促しながら総合力アップを図っている。
2019年の途中から指揮を執っているマッシモ フィッカデンティ監督は昨季、自らが得意とする堅い守備の構築により、安定的な勝点獲得が可能となるチームへと変貌させた。さらに一昨季の残留争いから上位争いを演じる劇的な変化ももたらした。
昨季以上の高い目標を達成するためのカギは、昨季1年で浸透させた堅守をベースにしながら攻撃面でのパワーアップができるかどうか。昨季もガブリエル シャビエル、マテウス、金崎 夢生、前田 直輝ら前線にはタレントがそろっていたが、そこに柿谷 曜一朗、齋藤 学、長澤 和輝ら高い能力を備える選手を加えたことで、大幅な得点力アップが期待できる。
こうしてみると、福岡と名古屋には「ベースとする堅守の質と強度の向上」、「新戦力加入による攻撃のバリエーションアップと得点力の向上」という、今季注目すべき点が共通することが分かる。初戦で両面の完成形を見ることはできないかもしれないが、昨季をベースに成長度がどれほどのものなのかを知るという視点で、この試合を見るのも面白いかもしれない。
もちろん、その共通点のレベルの差が勝負を分けることになるのは間違いない。昨季までの立ち位置からすれば、名古屋が優位に試合を進めることは予測できるが、5年ぶりのJ1に心を高まらせるサポーターの熱い声援を受ける福岡が押し込む可能性も十分にある。大事な初戦で大きく前に踏み出すのは、どちらになるか。
[ 文:島田 徹 ]


