特に前からのアグレッシブな守備とセットした守備の使い分けのバランスが絶妙レベルに達しており、それはリーグ5連勝のうち4試合で実現した無失点という結果に表れている。今季開幕前に長谷部 茂利監督が掲げたリーグ戦の目標は「10位以内、それを可能にするだろう勝点50の獲得」だった。当然、そこにはJ1残留という目標も含まれているわけで、現在の5位、勝点25という実績は目標に向かう順調な歩みを示す。
しかし、シーズン終了時の結果がすべてだという考えを持つ指揮官は、J1レベルの堅守実現に手ごたえをつかんだところで次なるチャレンジに向かおうとしているように映る。「守って1-0で勝つサッカーをしたいわけではない。ボールをもっと握って複数得点が取れる攻撃力も身につけ、発揮したい」と以前から言い続けているのだが、堅守ベースの好調という現実を見ると、そろそろ堅守を維持しながら攻撃力アップを図る次なるステップに進む時期がやってきたと、長谷部監督が考え始めているのではないかとの印象がある。それは先発メンバーの選考や、選手がピッチ上で表現するプレーに少しずつ表れているように思える。
一方の湘南も実は同じような時期に来ているのではないか。明治安田J1第6節からの8試合は無敗。そのうち6試合が無失点。一方で無得点が4試合ある。守備の安定化は十分なものとなったが、攻撃の迫力不足が勝点獲得の加速を妨げる要因になっているから、そろそろ攻撃にも力を入れるべきという思考に至ることはある意味当然とも言える。
そういう意識が出たことも、もしかしたら前節・横浜FC戦を落とした理由の1つかもしれない。試合後に浮嶋 敏監督は「失点を生んだのも最初の入りが悪かったところだと思う」と話しているが、守備から入るのではなく、攻撃的にいくという意識がスキを生んだ可能性はある。しかし、この敗戦は良いレッスンになったはずだ。あくまで堅守をベースに、攻撃にもパワーを注入することを選手たちは再認識したに違いない。
したがって、この一戦は、『堅守継続と攻撃力アップの同時実現』という新たなチャレンジに向かうチーム同士の対戦という視点で見るのも面白いのではないか。システムに大きな変化はないはずだが、そのための選手起用や配置に多少の変化があるかもしれない。ボールを奪ったあとの選手のポジショニングやスプリントの方向や回数などに変化が表れるかもしれない。
加えて、湘南にはかつて福岡に在籍して高い人気を誇った選手が2人いる。石原 広教とウェリントンだ。福岡時代にはSBとしてプレーした石原 広教がいまは3バックの中央を守っている。果たしてどんなプレーをするのか、福岡サポーターは確認したいだろう。ウェリントンは今季初出場からの4試合で2得点。福岡戦で今季初先発を果たすかもしれない。「どうかこの試合だけは活躍しないでくれ」と願いながらも、ドウグラス グローリや奈良 竜樹との激しい肉弾戦は想像しただけでワクワク感を抑えられない福岡サポーターも多いのでは?
[ 文:島田 徹 ]


