現在、鹿島を率いるランコ ポポヴィッチ監督は、2011年、そして2020年から2022年までの計4シーズンで町田の監督を務めた経歴の持ち主。また、日本代表MFの佐野 海舟は米子北高を卒業後、町田に加入し、4シーズンを過ごした。佐野と同学年であり、JFA・Jリーグ特別指定選手時代に町田の監督だったランコ ポポヴィッチ監督を知る平河 悠は「2人とのピッチ上での再会が楽しみ」と話した。
特に佐野にとっては、町田から鹿島へとステップアップを果たして以降、初めて町田のホーム・町田GIONスタジアムのピッチに立てる可能性がある。佐野本人も成長した姿を町田サポーターに見せたいと意気込んでいるに違いない。
もちろん、ランコ ポポヴィッチ監督にとっても、2022年以来となるGスタ帰還。2022シーズンは明治安田J2で15位に終わっているだけに、鹿島の指揮官として古巣を撃破し、自身の存在価値をアピールしたいはずだ。ただ、平河にしても、ランコ ポポヴィッチ監督や佐野にとっても、個人的な感情は別にして、チームの勝利のために力を尽くすだろう。
また、鹿島の主将である柴崎 岳にとって、町田の黒田 剛監督は青森山田高時代に指導を受けた恩師。ただ、柴崎は開幕2試合を欠場しているため、黒田監督とのピッチ上での再会は実現しないかもしれない。いずれにしても、両チーム間の深い因縁は、試合をヒートアップさせる要素になる。
ホームの町田は前節の名古屋戦に1-0で勝利し、歴史的なJ1初勝利を成し遂げた。2節を消化した時点で連勝するチームがいない“混戦模様”に、林 幸多郎は「混戦の中で勝てたことが評価できる」と話す。5位以内を目標に掲げ、上位争いを見据えるチームにとっても、鹿島戦で初の連勝を果たすことの意義は大きく、平河は「鹿島に勝てば上位に食い込む集団に入れる」と話し、士気も高い。チームとしては「良い方向に進んでいる」(平河)という自信を確信に変えるためにも、町田はJ1ホーム初勝利及び初の2連勝を狙う。
試合の1つの焦点は、セットプレーを巡る攻防。町田を率いている当時から、ランコ ポポヴィッチ監督にとって、デザインされたセットプレーは十八番。その特長は鹿島でも生かされている印象だ。その点、町田もロングスローを含め、セットプレーを貴重な得点源として捉えている。どちらのストロングポイントが上回るか。注視すべきポイントだ。
「相手にさせないことを第一に考えている」(平河)町田としては、“ポポヴィッチ流セットプレー”を封じることはマスト事項。それに加えて、前節のように、相手陣深くでのロングスローから起点を創出し、ゴールを脅かすことが理想だろう。セットプレーのキッカーを務めるほか、ロングスローを入れる役割も担う鈴木 準弥は「ロングスローほど相手にとってイヤな戦略はない」と胸を張った。“セットプレーの騙し合い”という視点でも、興味深い一戦だ。
[ 文:郡司 聡 ]
