ただ、「あってはならない」負け方ながら、試合後に大規模なブーイングは起きなかった。こうした反応となった理由はさまざまあると考えられ推し量るのは難しいが、論ずるに値しないという突き放しと、とはいえここまで見せてきたアグレッシブな姿勢を一定評価する、といった成分がいくらか含まれていたのではないかと思う。開幕からの3試合の結果と内容すべてを否定する必要はない。
「チームは確実に成長していると思いますし、内容は悪くなかった」と、ダニーロ ボザはポジティブな面もあったと強調している。セットプレー守備の改善は急務だが、前半の優位に立った時間帯の感触は持ち越すべきだろう。
金子 拓郎もまた、大事なのは連敗をしないことだと気持ちを切り替えている。「去年は(敗戦のあとに)ズルズルいってしまうような雰囲気があった」(金子 拓郎)と感じていただけに、副キャプテンとしてチームが持ち直せるよう努めている。
一方の水戸も、前節・川崎F戦は前半で2点のリードを奪いながら勝利を逃している。84分、90+3分と終盤に失点を重ね、PK戦の末に敗戦。川崎Fの攻撃力に屈してしまった格好だ。今季ここまで90分内での勝利がなく、直近の試合では締め方に課題を残した。
とはいえ、樹森 大介監督が川崎F戦後に「下を向くような内容ではない」と語ったように、J1クラブ相手に水戸のサッカーが通用していないというわけではない。落ち着きのある攻撃を自陣から相手陣まで一貫して続けることによって、ここまで4戦で6ゴールを挙げている。
水戸の攻撃力は十分に脅威。浦和としては、前節・鹿島戦の後半のような守備が続けば失点は必至だ。プレスの整理やコーチングはより綿密にやっていく必要があり、構え過ぎれば自由にボールを回されて疲弊してしまう。アグレッシブな姿勢は維持していきたい。
両者の対戦は過去に五度あり、すべて浦和が勝利しているが、直近の対戦は2019年の天皇杯3回戦。残るは2000年のJ2時代でのもので、とても参考にならず、また同カードの埼玉スタジアム2002での開催は初めて。J1クラブとなった水戸がインパクトのある“挨拶”を残すか、浦和が年季の違いを見せつけるのか。
鹿島戦のあとというギャップから、どこかに油断が浮かぶようでは危うい。ダニーロ ボザが「最初から自分たちのスタイルを出してハードワークする」と語ったように、浦和としては入りから、ピッチ上とスタンドの双方の圧で圧倒したい。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
