死力を尽くした末の結果。スコアは動かず、ドロー決着
AFCチャンピオンズリーグTwo 2026/27(ACL Two)に参戦中の町田と、AFCチャンピオンズリーグElite 2026/27(ACL Elite)に挑んでいるG大阪が対戦した明治安田J1第13節。異なるアジアのコンペティションを戦っている者同士が顔を合わせた試合は、ともに直近の公式戦から大幅にスタメンを入れ替えて臨んだ。
ホームの町田は直近の公式戦にあたるACL TwoグループG第3節の上海申花(中国)戦から7名をスタメン変更。なお、連続スタメン出場の選手は、GK谷 晃生やキム ミンテ、望月 ヘンリー海輝に加えて、西村 拓真の4名のみと、比較的フレッシュなメンバーが試合のスタートからピッチに立った。
対するアウェイに乗り込んできたG大阪も、直近の公式戦にあたるACL Eliteリーグステージ第3節のブリーラム・ユナイテッド(タイ)戦から7名をスタメン変更。現在、公式戦3試合連続ゴール中の宇佐美 貴史がスタメンに名を連ねた。「そんじょそこらのシュートじゃ入らない」と宇佐美 貴史が称賛する町田の守護神・谷 晃生から公式戦4試合連続ゴールを奪えるか。“ゴラッソメーカー”のパフォーマンスに注目が集まった。
試合はお互いに慎重なゲーム運びでスタート。様子見のような展開で進んだ試合は25分以降に活性化してきた。ホームの町田の最初の決定機は26分、トーマス アウエヤンからのクロスを望月 ヘンリー海輝が頭で合わせたが、シュートは惜しくも枠を外れた。
対するG大阪のビッグチャンスは43分、初瀬 亮のミドルシュートが谷 晃生を強襲。町田の守護神が手ではじいたボールを宇佐美 貴史が右足のシュートで狙ったが、谷 晃生の守備範囲に飛び、絶好のチャンスを生かせなかった。また、45分にはロングカウンターを仕掛けると、途中出場の角 昂志郎がフィニッシュ。ところが、シュートはゴールマウスのカバーに回ったキム ミンテの足に当たってゴールならず。アウェイのG大阪は前半から多くのチャンスを作ったが、10月の公式戦全7試合を無失点で終えている町田守備陣の牙城を崩せなかった。
0-0で折り返した後半は、一進一退の攻防で推移すると、次第に1点勝負の様相を呈していく。スコアが動かないまま最終盤に突入した試合は、ともに交代策を交えながら相手ゴールに接近したものの、最後まで1点が遠く、スコアレスドローでタイムアップ。ミッドウィークにアジアのコンペティションを戦い、死力を尽くした両チームからは、ピッチ上に倒れ込む選手が続出した。なお、ホームの町田は勝点を『1』しか上積みできずに首位から陥落。3位で次節、2位・広島との上位対決を迎える。
[ 文:郡司 聡 ]
ガンバ大阪
--前半の終盤に初瀬 亮選手のシュートのこぼれ球を右足で狙った場面は、宇佐美選手ならではの技術の高さが感じられました。ただシュートコースが甘かったために防がれてしまいました。 --明神 智和監督も「真っ向勝負」とおっしゃられていた中で、勝てなかったものの、90分を通して相手を追い込むこともできたのでは?五分五分の展開だったと感じています。お互いに消耗戦の様相を呈していましたし、どちらにも決定的な流れが傾かない、良くも悪くもない状況でした。 --そうなると、0-0という結果が妥当だったというお考えでしょうか。いえ。前半に関して言えば、チームとして確実に1点は決められる決定機がありました。僕自身の場面もそうですし、その後の(イッサム)ジェバリから角(昂志郎)へのパスから作った決定的なシーンなども同様です。 --ゴールライン上で相手にクリアされる場面もありましたし、運に恵まれなかったという側面もあったのでは?いえ、単純に力が足りなかっただけだと思います。
--相手に決定機もあった中で無失点で終えることができました。チームメートも体を張って相手のシュートコースに入ってくれていましたし、チーム全体で守れた結果だと思います。 --2023年頃から先発で出場する機会が少なくなった中で、ご自身としてはどのように役割を受け入れて、ここまで取り組んでこられたのでしょうか。やはり悔しい思いもしましたし、なかなか割り切れない時期もすごくありました。ただ、最終的にはサッカーが楽しいという思いや、GKとしてもっとうまくなりたいという気持ちで毎日を向き合うようになってからは、気持ちも少しはラクになりました。あとは何よりも試合に出たいという強い気持ちを常に持ち続けていたのが、良かったのだと思います。 --昨日、同年齢のGKである西川 周作選手が、遠藤 保仁さんが持つJ1通算最多出場記録(672試合)に並びました。同世代の選手がそうした大記録に並んだことは、刺激になっているのでしょうか。そうですね。記録だけを見れば天と地ほどの差があるとは思います。ただ、同い年の周作や飯倉 大樹選手も頑張っている中で、自分も負けていられないという思いになりました。長友(佑都)選手も含めて、同級生(同学年)が頑張っている姿を見ると、この年齢になると余計に応援したくなりますし、「自分も頑張らなければ」という力をもらえます。本当にありがたい存在ですし、周作の記録は誰にも真似できない本当に素晴らしいものだと思います。
FC町田ゼルビア
監督
終わってみれば勝ちたかった試合でしたし、悔しさが残るゲームになりました。ただ、お互いの長所や強みをしっかりと出し合うような好ゲームだったとも感じています。われわれとしてはできる限りオープンな展開や打ち合いを避け、じっくりと相手陣内に入り込んで得点を狙う意図がありました。そうした時間帯も多く作れましたし、ポストを叩く場面などチャンスも多くあったのですが、運の要素も含め、コースへしっかりと打ち切ることや、ゴールへ押し込む力がわずかに足りませんでした。その点は今後の明確な課題として残ったと感じています。 また相手のウェルトン選手や山下(諒也)選手といった非常に強烈なスピードを持つ選手に脅威を感じることもあった中で、何度かカウンターを受ける場面もありましたが、トーマス(アウエヤン)や明本(考浩)、キム ミンテを中心にカウンター対策を徹底してくれましたし、体を寄せてシュートコースを限定しながら枠に飛ばさせないなど、チームのコンセプトを忠実に遂行してくれたと評価しています。 結果は0-0に終わり、これでクリーンシートは公式戦8試合連続となりました。一方で、ペナルティーエリア内でいかに得点へ結びつけるかといった、取り組むべき課題も浮き彫りになっています。次のACL Two(グループG第4節)の上海申花戦、そしてその後の(J1第14節・)広島戦と、いよいよ上位争いの中で直接しのぎを削る厳しい戦いが控えていますので、ここがチームとしての大きな踏ん張りどころになると捉えています。 もっとも、現時点で3位につけており、首位との勝点差もわずか『2』です。この差は直接対決で勝利できれば十分に順位を押し上げることが可能ですので、しっかりと食らいつき、離されないことが極めて重要になります。その点を前向きに捉え、過密日程の中でもコンディション管理を徹底し、万全の状態で次の試合に臨みたいと考えています。 --10月はアウェイゲームが多く、ACL Twoに伴う長距離移動もある中で、公式戦7試合連続無失点という素晴らしい結果を残されました。コンディション管理が非常にうまくいっている印象を受けますが、過密日程や移動が続く中で、守備の強度をどのように保たれているのでしょうか。昨季(2025シーズン)や百年構想リーグのデータから、75分以降の失点が非常に多いことが分かっていました。そのため、“90分間集中力を切らさず、チームのコンセプトをやり切ること”を重要なテーマとして掲げてきました。その結果、75分以降の失点は1点に抑えられており、逆に自分たちは12得点ほど奪うことができています。取り組んできたことがしっかりと結果として表れている手ごたえを感じています。 ボールを保持することは、攻守において表裏一体です。相手陣内でボールを動かし左右に揺さぶることで、相手は人数をかけた攻撃が難しくなり、単発のカウンターに限定させることができます。その戦い方が失点の減少に直結しているのだと考えています。 単にゴール前へ引いて守るのではなく、全員で押し上げて相手を追い込み、セカンドボールを回収して再び主導権を握る。そうした時間を多く作れていることが、無失点記録を支える大きな要因です。 --疲労を抑えつつ、主導権を握ってゲームを進められているという手ごたえでしょうか。もちろん、選手たちの体は疲労困憊ですし、厳しい表情を見せる選手や負傷者もおり、選手起用のやり繰りには苦慮しています。しかし、プロである以上、それを言い訳にすることは決してできません。こうした厳しい状況下でも戦い抜き、勝利を重ねられるチームこそが、最終的に首位をつかみ取ることができるはずです。 この状況でどう戦い、いかに選手をマネジメントしていくかという監督としての手腕、そして選手の力そのものが試されているのだと受け止めています。できる限りの準備を精一杯行い、次の試合に臨みたいと思います。
ガンバ大阪
監督
今節が始まる前の段階で首位の町田さんとアウェイで対戦するということで、自分たちがまずそこで力を出せるか。どれぐらいの力があるかということを見せたいという試合でした。しっかりと選手たちは前半から、特に最初は立ち上がりのミスもあったりはしましたが、落ち着いて攻撃の部分は入ってくれたと思います。カウンターを含めて、前半からチャンスを作れました。その中で相手に少しボールを持たれてサイドから危ないシーンもありましたが、守備の部分は選手たちが非常に意識高くやってくれたと思います。 後半に関しても少しオープンな展開が多くなりましたが、自分たちがゴールに迫るという面でチャンスは作りましたし、失点ゼロで終われたことについては、チームを非常に評価しています。勝点3を目指している中で勝てなかったですが、結果以外の部分は選手のプレーを含めて満足しています。ただ、やはり勝っていかないといけない立場ですので、これを継続して次の試合につなげていきたいと思っています。 --GKの東口 順昭選手が出場停止の一森 純選手の替わりに出場して好セーブを見せ、素晴らしい活躍でした。評価を聞かせてください。まずはなかなかベンチに入れない時間があったり、ヒガシ(東口)にとっては非常に苦しいシーズンもあった中ですが、練習からプロフェッショナルとしての姿勢やプレーを含めて、選手たちの鑑であり、同時にプレーも素晴らしく、純が出場停止という中でヒガシが出ましたが、僕自身はまったく心配や不安はなく、非常に心強かったです。ひさびさのリーグ戦にはなりましたが、集中力高く素晴らしいプレーをしてくれたと思います。 --前半の終盤にウェルトン選手がおそらく左のハムストリングを痛めたという状況でしたが、ウェルトン選手を欠いた中でも角 昂志郎選手らがチャンスを作っていました。ウェルトンに関しては、途中でケガをしてしまって、(復帰まで)どれぐらいの期間がかかるかは分かりませんが、代わりに入った角も持ち味のテクニックは非常に出してくれたと思います。
FC町田ゼルビア
DF 24
キム ミンテ
--角 昂志郎選手のシュートをゴールライン上でブロックした場面は無我夢中だったのですか。クリアしようとボールに向かったのですが、正直なところ、あまりちゃんとは見えていませんでした。 --そうだったのですね。では、どのようなお気持ちでゴール前へと戻られたのでしょうか。前に美藤(倫)選手が走っていたので、まずはそこに走り負けないように意識していました。最後にマイナスのパスが出てくるのが見えたため、ゴール前に入ってなんとかはじき出そうと、必死にスプリントで戻っていました。必死に戻った結果、たまたま自分のところにボールが転がってきた、という感覚です。 --岡村 大八選手が欠場する中で連続でのスタメン出場でした。意外と疲労よりも充実感やうれしさのほうが勝っていましたね。こうして試合に出場できること自体が本当に幸せなことなので、思った以上に体も動きましたし、特に問題はありませんでした。
FW 9
小川 航基
--リーグ戦は2試合連続での0-0という結果になりました。「1点を取りたかった」というのが、まず最初に出てくる言葉です。僕がもっと良い選手であれば勝てた試合だったのではないかと、悔しさを感じています。 ただ、前半からやろうとしているサッカーや、チームとして、いまトライしている姿勢はお見せできたと思います。ガンバさんから見ても、特に前半はプレッシャーを感じていたというか、「攻め込まれているな」という感覚はあったはずです。あとは得点を取り切ること、決定的なチャンスをもう少し多く作り出すことができれば良かったと感じています。 --ご自身が「もっと良い選手であれば」というお話がありましたが、今日のプレーを振り返って、具体的にどのような部分でしょうか。少し大雑把な言い方になってしまいましたが、最後の場面で“仕留め切る精度”をもっと高めていかなければならなかったと感じています。 --ただ本日はフリックでボールを落として味方のフォローを使う場面が普段より多かったように見受けられました。味方との意思疎通が図れるようになってきて、序盤の頃には合わなかったタイミングも次第に改善されてきました。自分が欲しいタイミングでパスが出てくるようになったことも大きいですし、密にコミュニケーションをとれているからこそ、今日は良い距離感でプレーできたのではないかなと思っています。