前節の福島との“福島ダービー”では、開始早々に先制を許す苦しい展開を強いられた。しかし、そこから地力を発揮。30分に山中 惇希のゴールで追いつくと、44分に西谷 亮がいわき加入後初ゴールを挙げて前半のうちに逆転。後半には加藤 大晟が追加点を奪い、最終的に3-2で激戦を制した。特筆すべきは、勝利の瞬間にいわきの選手たちに笑顔がなかったことだ。高橋 勇利也が「緩かった。満足しちゃいけない内容」と断じたとおり、首位を走りながらも課題を直視するストイックな姿勢こそが、いまのいわきの強さを支える背骨となっている。
対する長野は、小林 伸二監督の就任以降、着実にチームの変容を見せている。前節・磐田戦は先制されながらも、藤川 虎太朗が古巣相手に鮮やかな同点ゴールを叩き込み、カテゴリーが上の相手と互角に渡り合った。PK戦の末に敗れはしたものの、新体制下で守備が安定したほか、ショートパスを主体とした攻撃の連動性は、最下位脱出を予感させるに十分な内容だった。
前回対戦時とは別のチームへと進化している長野に対し、田村 雄三監督は「相手というよりは、自分たちのことをしっかりやる」と表情を引き締める。高いインテンシティーで相手を呑み込もうとするいわきと、丁寧にパスをつないでスキをうかがう長野。勝ってなお、緩さを排し、際限なき進化を求めるいわきが、本拠地のサポーターの前でその威信を示すことができるか。春の陽光が降り注ぐハワスタで、後半戦の行方を占う重要な90分が始まる。
[ 文:近藤 健多朗 ]
