一昨季、昨季と2季連続で途中就任し、J1残留に導いた金 明輝監督が今季はシーズンのスタートから指揮を執る鳥栖だが、チームは大きく生まれ変わった。今季は新たに14人の選手が加わり、平均年齢も大きく若返った。始動以来、徹底的な走り込みや強度の高いトレーニングを積んでおり、ハードワークや切り替えの速さ、最後まで走り切る走力など鳥栖の伝統とも言える部分を見つめ直し、鍛え上げてきた。さらに戦術的には攻撃的なスタイルを掲げ、その熟成に取り組んできた。もちろん、一朝一夕で完成するものではないが、「キャンプでしっかり準備できたものがある。しっかりそれを形にして、試合に出せれば良いものになる」と指揮官も開幕までの取り組みという点については一定の手ごたえを感じている。
一方の札幌は、鳥栖とは対照的に新加入は5人のみ。カウィンとドゥグラス オリベイラの2人の外国籍選手が加わったが、残りの3人は大卒ルーキー。他クラブへ移籍したのも湘南へと戦いの場を移した岩崎 悠人だけと、昨季からの継続が今季のキーポイントとなっている。ただ、サッカーのスタイルは当然ながら進化を求めている。ペトロヴィッチ監督の下、攻撃的なスタイルを築き上げてきたが、今季はそのベクトルをさらに強いものへと推し進めている。守備においてもより果敢に高い位置から奪いにいくことで“攻撃性”を高め、得点の増加を目指している。ただ、タイ、沖縄と続いたキャンプで行われた練習試合では、新しい取り組みに対する生みの苦しみから失点を重ねているのが現状だ。12日からは熊本に拠点を移して3次キャンプへと突入しているが、その修正はこの試合に向けて必要不可欠だろう。
北海道に拠点を構える札幌にとって、鳥栖のホームで対戦する際にネックとなるのが移動距離の長さによる負担だが、今回は熊本キャンプ中とあり、熊本からそのまま駅スタに乗り込めるという点はメリットと言えるかもしれない。3月まで地元で練習ができずにキャンプが長く続くというのは雪国のチームならではのストレスだが、今回、移動という点ではその負担を軽減してくれるだろう。
東京五輪による夏の中断期間の設定を受けて、リーグ戦の開幕より先にルヴァンカップの開幕を迎える今季。ルヴァンカップといえば、レギュレーションに21歳以下の選手の先発を含めるというものがある。東京五輪出場を目指す選手たちもこの枠には含まれるだけに、若い選手を多く抱える両チームの対戦は見る側にとって楽しみな点が多いはずだ。昨季のルヴァンカップ決勝で敗れた札幌と、いまだグループステージ突破の経験がない鳥栖。この大会に懸ける気持ちの強い両チーム、白星発進を飾るのはどちらか。
[ 文:杉山 文宣 ]
