27回目となる同大会。前年度のJ1王者と天皇杯覇者が対戦する“風物詩”として数々の激闘が繰り広げられてきた。横浜FMはこれまでに何度もこのステージに臨んだが、いずれも悔し涙を呑み、天皇杯優勝がクラブ初タイトルだった神戸は初出場。どちらが勝っても同大会のトロフィーを初めて掌中に収めることになる。
両チームはともに前線からの激しい守備やポゼッションをチームスタイルの根幹に据える。昨季のJ1リーグ戦では、横浜FMがポゼッション率61.4%でリーグトップとなり、57.9%だった神戸が同2位。さらに、ゴール数も横浜FMが68得点でリーグトップ、61得点の神戸が同じく2位だった。攻守ともにアグレッシブな姿勢を打ち出す両者が、シーズンの始まりを告げるステージで激突するのは1つの注目点だ。
今オフの戦力補強に視点を向ければ、両者の趣はやや異なる。
J1王者として新シーズンを迎える横浜FMは、水沼 宏太が9年半ぶりに復帰し、昨季大分で10得点を挙げたオナイウ 阿道を獲得。さらに、仙頭 啓矢らJ2でポゼッション型のサッカーを習得してきた選手が加わるなど、アンジェ ポステコグルー監督のサッカーにフィットできる人材として計9名が新加入(トップ昇格後に他チームへ期限付き移籍した選手を除く)。栗原 勇蔵氏が現役を引退し、広瀬 陸斗は鹿島へ移籍したが、多くの主力が残留するなど上積みを図りながら進化の道に踏み出した。
神戸の新戦力は計4名。ダビド ビジャが現役を引退し、ルーカス ポドルスキらがチームを離れた中、清水からドウグラス、J2山口から菊池 流帆、筑波大から神戸のアカデミーで育った山川 哲史を獲得し、神戸U-18から小田 裕太郎が昇格。初瀬 亮、中坂 勇哉が期限付き移籍から復帰し、昨季と比べて少数精鋭となる27名で今季初戦を迎えることになった。
ただ、神戸は昨夏に大きな補強を行っている。横浜FMからGK飯倉 大樹、バルセロナ(スペイン)から現役ベルギー代表のトーマス フェルマーレン、ハンブルガーSV(ドイツ)から酒井 高徳、そして大分のエースだった藤本 憲明が加入し、彼らは天皇杯制覇に大きく貢献。主力もおおむね残留しており、トルステン フィンク監督の下で継続性を発揮しながら躍進に挑んでいく。
横浜FMと神戸のサッカーをその身で体感してきた飯倉は、対峙するJ1王者とのマッチアップをこう見据えた。
「相手はハイテンポがすごく得意なチーム。そのハイテンポで先制されると、こっちはまだ体もトップコンディションでないのは間違いないので、苦しいゲームになってしまう。いろいろな手を使って、気持ちよくプレーさせないことが大事になる」 2月8日の試合後、両者は中3日でAFCチャンピオンズリーグ初戦を控える。過密日程ともなるが、“今季初のタイトル”はシーズンへの士気を高める最高の勲章。両イレブンの闘争心が、ピッチで激しく交錯することになりそうだ。
[ 文:小野 慶太 ]
