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【AFC U-19選手権サウジアラビア2008】準々決勝レポート:途切れた8回目。ライバル韓国に惨めに敗れた日本。この経験を活かさなければロンドン五輪は無い。(08.11.09)

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■AFC U-19選手権 サウジアラビア2008 準々決勝
11月8日16:05キックオフ(現地時間) Prince Mohammed Bin Fahad Stadium
U-19日本代表  0-3  U-19韓国代表
得点者:'21ユ ジノ(韓国) 、'84チョ ヨンチョル(韓国)、'90+2チョ ジョンハン(韓国)
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試合後のピッチには柿谷曜一朗(C大阪)の嗚咽が響いていた。殆どの選手が倒れこんでいる中で権田修一(F東京)は一人歩き出した。倒れこんでいる選手に声を掛けて試合後の整列に行くように促していた。大の字になって倒れていた水沼宏太(横浜FM)を権田が抱えて起こそうとしたときに見えた水沼の顔は涙に濡れて歪んでいた。権田も涙を流していた。そして、柿谷は何人ものチームメイトが抱き起こそうとしても、そこで泣くためだけに生きているように動かなかった。枠に飛んだシュートがゼロという惨敗だった。

韓国戦の前日に行われたベスト8の記者会見。会見後、権田と話すチャンスがあった。
「このチームは良くも悪くも気分屋集団。大事なところで頑張れるけど、継続が出来ない」
前日だったので、深刻な話し方ではなかったが、その言葉は悪い方向で的中してしまった。その前日には水沼が「(練習の雰囲気が甘く)こんなんじゃ駄目だという気持ちがある。AFC U-17でもグループリーグを突破したあと少し締まりがなくなった経験がある。まだ何も手に入れていない。ここで気を抜くと次の試合が駄目になる。これまでは中東のチームと対戦してきたけど、今度は極東のチーム。開始10分くらいでみんなが試合の感覚や中東のチームとの違いに気がつかないと駄目だと思う」話していたが、これも的中してしまった。

サウジアラビア人の記者から「極東ダービー」と呼ばれた日本対韓国戦。勝てば来年のFIFA U-20ワールドカップ(エジプト)出場が決まり、負ければ終わりという大一番。立ち上がりの10分間ほどはお互いに守備面で決定的なミスのない展開だったが、徐々に韓国の応援団の声が大きくなっていくシーンが増える。意味なく絶叫する韓国人の少女軍団の声が、試合内容に対する苛立ちを増幅させる。ベストメンバーのはずの日本チームの攻撃は消極的で、相手のバイタルエリアに効果的に侵入できない。サイドに展開してもサポートに行かないからボールはすぐに奪われてしまう。 スピードもなく、正確性もないポゼッションは相手にカウンターのチャンスを与えるだけ。逆に、韓国の選手は簡単にボールを失わないし、3人に囲まれても突破する強さがあった。それでも日本は権田を中心によく守って21分の1失点だけでハーフタイムを迎えた。

牧内監督は後半から柿谷を投入して流れを変えようとしたが、柿谷一人では変えることは出来なかった。ボランチにボールが収まらず、そこでボールを失うサッカーが通用する訳が無い。何をすればいいのか判断が出来ない選手はウロウロとするだけで、サポートが無い孤独な戦いを個々に強いられるだけ。そして、ピッチからは選手の声は殆ど聞こえなくなっていた。グループリーグで日本が10得点を挙げたことで「日本は強い」とサウジアラビア人の記者から見られていたし、本番ではやれる選手だと期待していたが、それはベースの無い状況でのことで、本当の強さはこのチームには身についていなかった。強そうな雰囲気があっただけ。ただ、救いが無かったわけではない。権田がスーパーセーブを何度も見せ、冷静にプレーし続けたこととU-17組の水沼、柿谷、河野広貴(東京V)がチームが混乱して自信を失っている中でもやれることをやろうとした点は救いだった。3人が距離を縮めてワンツーで突破するシーンを何度か作った。彼らは、どうやれば自分たちの能力で相手を崩してシュートチャンスを作ることが出来るのか分っていたし、リードされている状況でもそれをやり続けた。サウジアラビア戦でも水沼は香川真司(C大阪)と2人の関係で同点ゴールを決めた。水沼はマッチョな選手でもなく、スピードがある選手でもないが、このチームで一番信頼でき、苦しいときでも戦えるフィールドプレーヤーだと思う。アジアで紙一重の戦いを制して世界を掴み取ったU-17組のリーダーが持つ経験値はこういう場面に発揮された。

しかし、メンバーをある程度固定した状態で合宿を組むことが出来なかったチームに、その経験と影響が充分に行き渡ることはなかった。後半に2失点した日本は0−3で惨めに敗れた。7大会連続で世界(FIFA U-20ワールドカップ)の切符を掴み取っていた日本は、8回目を掴めなかった。団長の小野剛・日本サッカー協会技術委員長は「7回連続で世界に出ていたが、紙一重のところを勝ち抜いてきたという状況。世界に行くことが出来ない現実も(いつか)来るものとして、受け止めないといけない。しかし、この世代の強化を途絶えさせてはいけない。世界の場を失ったので、それに準ずる機会を作っていかないといけない。選手招集にはジレンマがあるが、ゆくゆくはこの大会に出て行くときに、(代表選手が)所属チームの主軸かレギュラーとして戦っていくことが出来るように若い選手をたくましく育成していくことが重要だと思う」と話した。この世代はロンドン五輪を目指すチームとしての次があるのだが、今回の結果を見れば下の世代との融合も必要になってくるだろう。A代表の監督が五輪代表の監督を兼任するというアイデアは技術委員会内部での考えであって、理事会で承認されるかどうかはこれからの話。誰が責任者になり、どのような強化を図っていくのか注目される。

「期待に沿うことが出来なくて申し訳なく思っています。選手は気持ちでは一つにまとまっていこうとしたが、過緊張や疲労などで思うように身体が動かなかった部分があった。そのなかでも、もう少し我慢すれば活路を見出せるところがあったので、そこを打開して欲しかった。(今大会の収穫として)プレッシャーを受ける苦しい展開のなかで何が出来るのか、何をやらないといけないのか肌で感じたことは大きいと思う。ここでしか出来ない貴重な経験。それだけに、世界に行けないことが残念。アジアとは違う世界のいろいろなタイプの選手と戦える場を失ったことは日本のサッカー界にとって後退になってしまう」と試合後に牧内監督が話したが、思うように選手を招集できなかったことに対して何一つ不満は洩らさなかった。選手層が厚いわけでもない世代の上に、期待した主力選手がケガをするという不運もあったが、グループリーグで見せた戦いの経験は無駄にはならない。選手がこの経験を所属チームでどう活かすかが、ロンドンに行くことが出来るかどうかにかかっている。

以上

2008.11.09 Reported by 松尾潤

■U−19日本代表メンバー、日程
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