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富山が起死回生の白星を狙う。リーグ戦は３連敗中。８月１日の第20節・岐阜戦以来６戦勝ちがない（１分５敗）。18位に沈み、浮上の手がかりをつかめずにいる。２位の甲府をたたいて一気に勢いに乗りたい。甲府は８月以降２勝４分と負けなしだがドローが多いためややペースダウンの印象。下位を相手に取りこぼしはしたくないところだ。
富山はスランプに陥っている。「チームは昨季に比べて間違いなく成長している。やってきたことが正解であることを示していきたい」と楚輪博監督が話すように手ごたえはある。しかし、それが勝利に結びつかない。前節は水戸に開始８分までに２点を許して１−３で敗れた。３位の福岡や首位の柏を苦しめ、「今度こそ」と臨んだはずだったが、ミスから失点を重ねて自滅してしまった。もがくほどに深みにはまるような苦境にある。
選手たちは、「内容よりも結果」という言葉で勝利への執念を表現し、自らを鼓舞してきた。先々週には春以来という選手だけでのミーティングを実施して意見を交わした。「きっかけさえつかめればチームは変われる」との思いを共有している。ここが正念場だ。MF朝日大輔は「うちのような力のないチームは全員がひとつになって戦うしかない」と話す。強敵を迎え、さらに高まるであろう団結力に期待したい。
「新しい風を吹かせてほしい」と楚輪監督は話し、先発メンバーの大きな変更も考えているようだ。21日の紅白戦では、どちらが主力組なのか判断がつきかねるほど選手を入れ替えながら調子を見極めた。その決断とチャンスをつかんだ選手のプレーに注目だ。
楚輪監督は「甲府はセットプレーが強く、そのこぼれ球への反応も速い。第２次、第３次と攻撃を繰り出してくる。個々の力は相手が上なので、うちはチームでカバーし合うことが大切。運動量を上げて相手の戦い方にブレを生じさせたい。選手たちの思い切りのよいプレーに期待している」と語った。
甲府は前節の熊本戦で３−３と引き分けた。首位・柏との勝点差は８に広がり、３位・福岡には４差に詰められたが、４位・千葉には８差をつけた。残り11試合となり、J１復帰がみえてきた。18位・富山、17位・岡山との中２日の連戦で確実に勝点を積み上げたい。
４月の第７節にあった富山との前回の対戦では５−０で圧勝。得点ランキング１位（14点）のFWハーフナー・マイクの今季初ゴールも生まれ、チームが完全に軌道に乗ったゲームだった。その雪辱を期す富山を返り討ちにすることができるか。ただ、リーグ１位タイの１試合平均得点1.92に比べ、同失点1.24は同11位と多め（富山＝同得点1.12、同失点1.92）。最近５戦も得点12、失点11と守りにやや不安がある。
前甲府監督で富山の安間貴義ヘッドコーチは「ハーフナーの高さを生かして効率的に得点している。３位、４位との勝点差も開いているので昇格の可能性が高い」と話す一方で「昨季に比べて失点が多く、すきはある。あとはうちが突けるかどうかにかかっている」と言う。朝日は「相手は『４-３-３』なので、運動量を上げていけば中盤では数的優位がつくれる。攻守の切り替えをはやくし、ショートカウンターでゴールを狙いたい」と話した。
富山のファンには、甲府GKの富山一高出身、荒谷弘樹の雄姿も楽しみ。チーム最年長の35歳にしてなお一線級で活躍し続ける彼の歩みを誇らしく感じる県民は少なくないはずだ。
また、21日のクラブ発表によると、当日は甲府のマスコット「ヴァンくん＆フォーレちゃん」が来場する。他クラブのマスコットが富山まで足を運んでくれるのは初めてのこと。15時から富山のライカくんと共演するミニ劇場が予定されている。
以上
2010.09.22 Reported by 赤壁逸朗
