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【Jユースカップ2010 準決勝 京都 vs F東京】レポート:遷都ならず。ベストメンバーを組めないF東京が東京品質の高さを見せて右肩上がりの京都に競り勝つ。(10.12.24)

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12月23日(木) Jユースカップ2010 準決勝
京都 0 - 1 F東京 (11:00/長居/1,068人)
得点者:58' 武藤 嘉紀(F東京)

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サンガタウンで前日練習を行っていた京都U-18のもとに思いがけないゲストがやってきた。ふらりと姿を見せたのは京都OBの松井大輔(FCトム・トムスク)で、代表合宿に備えてのコンディショニングのために古巣のグラウンドを訪れた。U-18は練習効率を下げないためにF東京戦のメンバーとメンバー外の練習時間をズラしてあったので、練習が終わりに差し掛かっていたメンバーは一緒にボールを蹴っていないが、松井は選手と握手して激励してくれた。選手は練習が終わってもメンバー外のミニゲームに入ってプレーする日本代表の姿を見つめ続けていた。自分にも掴める未来がそこにあると思っていた選手は少なくないだろう。その自信が京都の希望。

「ロッカールームから選手を送り出すときに何を言うかは当日決めます。昔は難しいことを言ったこともあったし、格好つけているところがあったけれど、今は純粋に選手を信じている。キックオフと同時に前に踏み出せるような言葉を掛けようと思う(京都・本田将也監督)」

8月のスペイン遠征以降、自信をつけている京都は、「前から行くつもりだったけれど、京都の方が出足がよかった(F東京・松藤正伸)」と、F東京に対して開始直後から主導権を奪った。7月のクラブユースは0-1敗れていたが、「試合をさせてもらえなかった(京都・本田監督)」という内容から主導権を取るまでにチームは大きく変わっていた。1分の駒井善成のドリブル突破、6分の久保裕也のシュートを見ていると京都が先制するのも時間の問題にも思えたが、F東京の凄さも知っているつもりなのでF東京がこのままズルズルと行く訳がないということも分かっていた。

F東京は京都に主導権を取られていたものの、狙いはボールを奪ってからの守から攻への切り替えの速さとその質で勝負すること。最初から「主導権を京都に持たせている」というような余裕はなかっただろうが、パニックになるということもない。そして、13分に岩木慎也が蹴ったFKから流れが変わる。このFKは決まらなかったが京都の選手に「F東京は強いんだよ」ということを思い出させるには充分な効果があった。今度は京都が耐える番で、スペイン遠征のカップ戦でベストGKに選ばれた杉本大地が決定機を何度か防ぐ。しかし、前半も終盤になってくると京都がボールを持たされていて、F東京は高い位置でボールを奪ったらカウンターという図式が少し見え始めた。ただ、京都の攻から守への対応も速く、F東京はいつもの精度を出すことが出来なかった。

京都の攻撃はボールを繋いでF東京のペナルティエリア付近までは行くものの、その回数に比べてシュートで終わる回数が少なすぎた。可能性の低いクロスを入れることは少なく、繋いで崩すという意図は見えたのだが中央に厚いF東京の守備のブロックはやはり強固。楔を入れてもまた後ろに落とすことや、ペナルティエリアまで行ってもシュートを打たないでボールを奪われることが少なくなかった京都の攻撃を見て、「違う選択肢を増やせばいいのに」とも思ったが、京都の選手が貫きたかったのはクロスを入れまくる攻撃ではなく、ボールを確実に保持しながらF東京の守備を崩すこと。それが意図であり、京都の意思。堅いF東京の守備陣相手に、それをやり続けて何度か決定機を作ったことを評価すべきだと思う。それを1回でも増やし、決められるか、決められないかが勝負を分けるだけ。ただ、同じように決定機を決められていなかったF東京は慌てているように見えた時間帯もあったが、京都の攻撃がほとんどシュートで終わらないことで落ち着いてプレーが出来ていたようにも感じた。

そして、58分にF東京で一番スーパーな選手が京都のパスミスから始まった攻撃で大きな仕事をする。岩木からの横パスをペナルティエリア付近で受けた武藤嘉紀は、「ボールを取られない自信はあった。パスを受けた瞬間にゴールのイメージが沸いた。一人かわしたらイメージ通りにファーサイドが空いたから、そこに蹴り込むだけだった」とエースとしての仕事をやり遂げた。「それまでも決定的なチャンスに焦ってシュートミスをしていた。京都のGKもよかったけれど、落ち着いてシュートが出来ていれば決められるチャンスはもっとあった」と武藤。それでもこれだけの難しい試合で1本決めるのは凄い。

均衡が崩れたことで京都がどう出るかに注目した。サッカーのメンタリティでは当然のこと京都の気持ちが更に前掛りになる。それに対してF東京も1点を守るのではなく、もう1点を狙う意思を見せた。そのなかで、京都の伊藤優汰が2枚目のイエローを貰って退場となってしまう。判定は判定。10人になった京都はGKより長身(190センチ)のFW・三根和起を投入する。F東京は数的同数なら武藤を下げて三根をマークさせる予定だったが、倉又寿雄監督は判断を選手にゆだねた。武藤は自分で判断して三根をマークして、彼を京都に使わせなかった。そして、スコアは動かずF東京が勝利。佐々木陽次、廣木雄磨を欠く中での決勝進出は36人のチームとしての質の高さの証明でもあった。

京都は、個のレベルも高くまとまりのある素晴らしいチームだったし、自分たちが信じるサッカーを貫いた姿には、それに対する自信と誇りを感じた。クラブの育成力が右肩上がりだということも証明した。しかし、セカンドボールへの対応のスピードなど、信じるサッカーとは関係なく全てに共通する部分ではF東京にレベルの高さを見せつけられたということになるのではないだろうか。倉又監督は「今日は攻守の切り替えが悪かった」と話したが、それでもF東京は細かいが大切な質の部分の高さを発揮した。ユース年代トップチームという評判に違わない戦いぶりだった。

本田監督は、「ここまで来たんだから特別なことをやるのではなく、素晴らしい場所で自分たちのスタイルを貫こう。それを見せるには絶好のチャンス。F東京という素晴らしい相手に自分たちのサッカーを貫こう」という趣旨の話しをロッカールームで伝えて選手を送り出した。ちょっとしたことで心が揺れる育成年代だが、京都の選手は前半の立ち上がりからそれを貫いた。勝利にしか価値を認めないのでなく、貫いたことを評価すべき戦いだった。それが出来たのは、スペインで掴んだ自信、チームメイトと本田監督への信頼、京都サンガF.C. というクラブへの愛着がある。目の前の試合に勝つことは重要だが、貫いた意味はトップに昇格する4人と大学に進学する選手、そして2年生以下の選手がそれぞれの場所で証明するもの。ボールを繋いで運ぶというストロングポイントを身につけ、新しいステージで磨きをかけ、足りない部分を補う。準決勝でF東京に敗れ、たまらなく悔しい思いをして流した涙がそのエネルギーになる。

以上

■決勝 12月26日(日)@長居
13:30 F東京 vs 横浜FM
※J's GOALでリアルタイム速報します!

2010.12.24 Reported by 松尾潤
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