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【第91回天皇杯 2回戦 広島 vs 金沢】レポート:ツエーゲン金沢、ここにあり。敗れてもなお賞賛の拍手を浴びた素晴らしきサッカー(11.10.09)

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10月8日(土) 第91回天皇杯 2回戦
広島 4 - 2 金沢 (15:00/広島ス/3,858人)
得点者:2' 佐藤 寿人(広島)、15' 山根 巌(金沢)、23' 平林 輝良寛(金沢)、30' 横竹 翔(広島)、45'+2 水本 裕貴(広島)、86' 佐藤 寿人(広島)
★第91回天皇杯特集
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試合終了後、スタンドからは大きな拍手が鳴り響いた。スタンディング・オベーション。素晴らしいパフォーマンスを演じた勇士たちに、観客が感謝の想いを込めて贈るプレゼント。だが、それは勝ったサンフレッチェ広島に対してではなく、敗れたツエーゲン金沢に贈られたものだ。
もちろん、この日スーパーゴールを決めた山根巌や随所に野生の美しさを見せた久保竜彦らサンフレッチェ出身の選手たちに対する愛情もあるだろう。だが、金沢がこの日見せた気持ちが強烈に伝わってくるプレーの数々を、広島の人々は素直に賞賛した。

実はこの日、スタンドがもっとも湧いたのは、久保竜彦がセンターサークル付近で半身の体勢から腰を強烈にふりぬき、豪快なシュートを打った場面だ。白いボールは青い空に届かんばかりに大きく枠をそれていったが、そのフォームの美しさとしなやかさ、そして「まさか、そこから」という意外性。スタンドからは「出たっ!」という叫び声があがった。これぞ、久保竜彦だ。

立ちあがりの広島は、本当に素晴らしかった。2分、横竹翔の右クロスを左サイドの服部公太が折り返し、佐藤寿人が詰めて先制。美しいパス回し、迫力に満ちた飛び込み。ストッパーの水本裕貴がオフサイドになるなど、全員攻撃も機能。佐藤のボレーシュートがバーを直撃するなど、ビッグチャンスをいくつもつくった。

だが、一つのスーパーシュートが流れを変える。主役は、広島皆実高出身の地元選手、金沢のリーダー・山根巌だ。
広島在籍当時はトップ下、創造性に満ち、ドリブルがキレるアタッカーだった。だがその後、キャリアを積み重ねるにつれて彼は、試合の流れを読み、今必要なプレーが何かを瞬時に判断できるボランチへと成長する。15分、広島DFのパスを狙い通りにカットした背番号8は、右足を思い切り振った。同点だ。広島から旅立った後に身につけた能力と広島時代に見せつけていた攻撃性が合わさったと言っていい強烈なミドルが、広島のリズムを乱し、金沢に自信と勢いを植え付けた。
23分、GK大橋基史からのロングキック。平林輝良寛がトラップし、反転するや否や右足を振り抜く。まさに弾丸ライナー。どんなGKでも防ぐことができないスーパーゴールで、金沢が逆転した。
騒然とするコカ・コーラウェスト広島スタジアム。パス回しも雑になり、ミスの増えた広島。流れは完全に変わった。だが30分、これぞ広島というプレーが飛び出し、同点に追いつく。

昨年、ペトロヴィッチ監督から「レギュラーにもっとも近い」と評価され、今季はポジションを奪うための1年と位置づけていた横竹翔。だが、レギュラーの壁を崩せないどころか、ここ最近は途中出場の機会すら失った。天皇杯前の練習では指揮官に名指しで激怒され、「もっと覇気を出せ」と叱咤された。
それでも、この天皇杯初戦に期待を込めて起用された。その気持ちに応えないといけない。絶対に負けられない。
ドリブルでボールを持ち上がった横竹、前を見る。そこには、同じストッパーの水本がいた。パスを預け、そのままゴール前に飛び込むと水本から絶妙のパス。相手ゴール前でのストッパーのワンツーという超攻撃的プレーが飛び出し、広島が横竹の得点で試合を振り出しに戻した。さらにアディショナルタイム、森崎浩のCKを水本が執念でねじ込み、広島が再逆転に成功する。

これで流れは広島か、と思われた。だが51分に佐藤がGKとの1対1を決められず、57分には森崎浩がシュートをバーに直撃するなどチャンスをモノにできずにいると、またも金沢がペースを握る。広島は焦りからミスが続発、カウンターで何度も危険にさらされた。
67分、平林のシュートに久保がフリーで飛び込み、決定的シュート。ここはポストに救われたが、75分にはまたもカウンターから久保が飛び出し、中林のファウルを誘ってPKをゲットした。同点か。だが久保の蹴る方向を「感じた」という中林が確信を持って右に飛んでシュートを弾き飛ばした。久保と中林、野生児同士の1対1は後半の白眉だった。

86分、横竹のクロスを佐藤が流し込み、勝利を決めた広島だったが、課題は山積み。一度失ったベースを取り戻し、逆転勝利をおさめたこと、後半はミスを全員でカバーし決壊を免れたことが数少ない収穫と言えよう。
金沢は素晴らしかった。積極的かつ攻撃的な守備からのカウンターは、切れ味抜群。運動量は最後まで落ちず、プレスも速い。失点してもさらに闘志を燃え上がらせて、広島に立ち向かった。久保だけでも山根だけでもない。ツエーゲン金沢というチームが見せたスピード感に満ちたサッカーに対する感動が、観客の大拍手を引き出した。その大歓声に対して照れくさそうに手を挙げる選手たち。確かに、ツエーゲン金沢は敗れた。だが、素晴らしき敗者であり、賞賛にふさわしいチームであった。

以上


2011.10.09 Reported by 中野和也
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