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【第91回天皇杯 3回戦 広島 vs 愛媛】プレビュー:ペトロヴィッチ監督退任がタイトルへの想いを高めた広島。内容が右肩上がりの愛媛との対決は闘志のぶつかり合い。(11.11.15)

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11月16日(水)第91回天皇杯 3回戦 広島 vs 愛媛(19:00KICK OFF/広島ビ)
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★第91回天皇杯特集
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佐藤寿人がまなじりを決した。
「どんなチームよりも、僕らの天皇杯優勝への想いは強い」
 
森脇良太が、熱く語った。
「何がなんでも1月1日、監督と共に国立で勝利する」

山岸智が静かに言葉を発した。
「1日でも長く、監督と共にサッカーがしたい」

11月9日、クラブから発表された「ペトロヴィッチ監督退任」のニュースは、選手たちにとっては「青天の霹靂」。J2を圧倒的な強さ(42試合で勝点100、1試合平均勝点2.38はJ2史上2位※1位は2004年の川崎F)で駆け抜けた。J史上初のJ1昇格1年目でのACL出場権獲得。クラブ史上初のヤマザキナビスコカップ決勝進出。歴史に深く刻み込む活躍を演出した名将は、財政的な事情等により今季限りで広島を離れることが決まった。

その発表当日、ペトロヴィッチ監督は「涙は見せまい」と心に強く言い聞かせ選手たちの前に立ったものの、こみ上げる激情をこらえることができず、大粒の涙をこぼした。選手たちからも、すすり泣く声が聞こえたほどの衝撃的ニュースは、その衝撃故に強いモチベーションも与えた。「天皇杯優勝を果たし、監督を胴上げしたい」という強い想いである。
広島のJ2降格が決まった後でさえ「監督交代ならば、僕も移籍を考える」と森崎和幸が言い切ったほど、広島の監督と選手たちの絆の強さ。その理由はきっと、言葉でいくら説明しても伝わるまい。「J2降格という危機も共に乗り切ったから」だけではなく、「攻撃的な楽しいサッカーを目指すから」だけでもなく、あらゆる要素が螺旋状に絡まり合っているからこそ。握手や抱擁、頭をなでるなどのボディタッチ・コミュニケーションからスタートし、嘘をつけない性格、ほとばしる情熱、熱くて心に突き刺さる言葉の数々、選手を絶対に守ろうという断固たる姿勢。戦術や戦略だけではなく、人間性が人の心を動かしてこそ、監督はチームを一つにまとめるという事実を、ミハイロ・ペトロヴィッチという人物は示してくれた。

その指揮官が「天皇杯を勝ち上がるための関門」と位置づけているのが、明日の愛媛戦である。それは過去2年間、連続してJ2のチームに敗れたというトラウマだけの言葉ではない。愛媛の実力を認めているからこその発言だ。
「愛媛には、規律がある。アグレッシブだ。守備が固く、攻守の切り替えも速い。そして、かつて広島でプレーした選手たちもたくさんいる(大木勉・内田健太・池田昇平・吉弘充志。広島ユース育ちも含めれば田森大己・兼田亜希重)。古巣に対し『俺たちはできるんだ』という強い気持ちで立ち向かってくるだろう」

ペトロヴィッチ監督が特に警戒しているのは、愛媛のチーム得点王(12得点)である斎藤学だ。2007年のU-17ワールドカップに出場するなど、若い頃から注目を集めていた若きストライカーは今季、横浜FMから愛媛に期限付移籍。湘南・反町康治監督から「愛媛のメッシ」と称されるほどの衝撃的なゴールシーンを演出できる若者を、広島の指揮官は「彼は速いし、仕掛けができる。とにかく、タレントを持っている選手だからね」と高く評価。かつて愛媛で2年間活躍した森脇良太も「斎藤選手はとにかく速い。前を向かせたら危険」と警戒を強める。さらに「愛媛には彼だけでなく、(大木)ベンさんもいる。ポジションどりも巧いし、シュートもパスも凄いから」。かつて共にプレーした先輩の「天才」ぶりを、広島の選手たちはよく知っている。大木のアイディアや発想が、斎藤や内田ら若者たちの能力を存分に発揮させることもまた、よく理解している。

愛媛は四国ダービーによる退席処分の影響で、バルバリッチ監督がベンチ入りできない。だが彼の退席がチームの闘志に火をつけ、徳島戦では2点差を追いつき、鳥栖戦では内容で相手を上回った。リーグ戦では11試合勝ちなしではあるが、J1昇格候補である徳島・鳥栖を相手に見せたパフォーマンスは、自信を深めていい。

2008年のJ2時代、広島は愛媛と3度対戦して全勝するなど、相性で言えば広島に分がある。だが当時の愛媛よりも間違いなく前線の破壊力は上。広島の気持ちが空回りしてしまえば、カウンターから愛媛が勝利をつかむシーンも十分に想像できる。李忠成・西川周作と代表選手不在、負傷者もここに来て増加するなど、苦しいチーム状況にある広島にしてみれば、「監督へは、感謝の想いしかない」(青山敏弘)という強い気持ちを冷静にプレーで表現することが肝要だろう。

ペトロヴィッチ監督に対する万感の想いを込めて、これからの試合を戦いぬくことを誓った広島に対し、多くの選手たちが広島在籍経験を持つ愛媛もまた、気持ちを前面に押し出してくるはず。明日のビッグアーチは、そんな闘志のスパークを目撃できる闘いとなるはずだ。

以上

2011.11.15 Reported by 中野和也
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