12月3日（土） 2011 J1リーグ戦 第34節
Ｃ大阪 7 - 1 福岡　（15:34／金鳥スタ／11,009人）
得点者：10' 藤本康太（Ｃ大阪）、32' 城後寿（福岡）、35' 清武弘嗣（Ｃ大阪）、40' キムボギョン（Ｃ大阪）、45'+1 倉田秋（Ｃ大阪）、50' 倉田秋（Ｃ大阪）、52' 杉本健勇（Ｃ大阪）、76' 村田和哉（Ｃ大阪）
スカパー！再放送 Ch181 12/5（月）前08:00〜
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レヴィークルピ監督の理想とするサッカーが、そこにはあった。若い力が思い切り躍動し、最後まで攻めきる姿勢を存分に見せて、ひたむきにゴールを狙う。その思いはしっかりと形になって表れ、Ｃ大阪は福岡に７−１と大勝。Ｊ１最終節、そして、レヴィークルピ監督Ｊ１最後の指揮となった大事な試合を、最高の形で締めくくった。

ゴールショーの幕開けとなったのは、前半10分。１日の練習中に右肩を痛めた酒本憲幸に代わり、急遽右サイドバックとして先発した藤本康太が、号砲を鳴らした。守備のユーティリティープレーヤーであり、身体能力とヘッドの強さを特長とする背番号４が、バイタルエリアから右足を振り抜き、豪快なミドルシュートを福岡ゴール内に叩き込んだのだ。得点後には清武弘嗣の第一子誕生を祝ってゆりかごダンスをチームメイトみんなとともに披露。レヴィークルピ監督の教えを最も長く受けている選手の１人が、得点にこだわった指揮官の思いに応えたことで、Ｃ大阪イレブンの闘志にさらに火が付いた。

32分には福岡の城後寿にゴールを許し、１−１の同点に追い付かれたものの、その追撃も「攻めきる」姿勢で払拭したＣ大阪。試合の流れを引き寄せたのは、今季最も輝いた男、背番号13、清武だ。35分、中央をドリブル突破しながら攻め込むと、華麗なステップで相手ＤＦ２人を巧みにかわし、すぐに右足でここしかないというコースにゴール。チーム唯一の日本代表選手が風穴を開けると、もうＣ大阪は止まらなかった。

40分には杉本健勇のシュートがＤＦにあたって大きく流れたところを、右サイドにいたキム ボギョンが抜群のトラップから、ケガから復帰後、初得点となるシュートを左足で決めきれば、前半終了間際にも山口螢の怒濤のプレスをきかっけに、倉田秋が自ら得たＰＫをきっちりと決め、前半だけで４−１とリードを広げる。

後半も、桜色の大サポーターに後押しされたＣ大阪イレブンの進撃は続く。50分にキム ボギョンの絶妙スルーパスから倉田がこの日２点目、今季目標としていた二桁得点を決め、完全に福岡の息の根を止めると、その２分後には扇原貴宏のパスを受けて福岡ＤＦの裏に抜け出した杉本がホーム初得点を記録。さらに、途中出場の村田和哉が、清武のパスからＧＫをかわし、プロ入り初ゴールでとどめを刺した。尊敬する播戸竜二の薫陶を受けて金髪に染めた男が、得点後には「すべてが予定通り」という『カメハメ波パフォーマンス』も披露。まさにＣ大阪一色となったスタジアムは、大興奮と歓喜に沸き立った。

試合後、「レヴィーセレッソ」コールが鳴り止まないなか、レヴィークルピ監督は涙を見せ、いつまでもサポーターの歓声に応えていた。５シーズンに渡って指揮をとり、これがリーグ戦最後となったレヴィークルピ監督は「正直、今、本当に複雑な気持ちです。例えるなら、大事な家族を見送りにいくときのような、一抹の寂しさを感じるところだ」と率直な感想を述べたが、「今日の試合では本当に最高のものを選手たちは見せてくれた」と、若きイレブンを称賛していた。

ちなみに、リーグ戦終了後のセレモニーではレヴィークルピ監督の巨体がイレブンによって胴上げされたが、少しうまくいかなかったようで、これは天皇杯タイトル奪取のための、最後の課題といったところだろうか。「今日のリーグ戦は本当に若い力で勝てたと思いますし、これが次の天皇杯につながると思う」と主将の茂庭照幸も言うように、ＡＣＬ連続出場へあきらめないＣ大阪は、これから「レヴィーセレッソ」最後の戦いへと突き進む。

一方の福岡は、Ｊ２降格が確定しているなか、今季最後の試合に臨んだが、城後のゴール１点に終わり、Ｃ大阪の前に７失点と撃沈。「効果的にセレッソさんに点を取られていくうちに、やはり少しチームの一体感というものが、徐々になくなってしまった。これは、私の責任を含めて、ちょっと残念だったなという感じ」と浅野哲也監督も振り返る内容で、今季の幕を閉じることになった。それでも、「結果は残念ですけども、今季我々が目指してきた戦う姿というところは、各選手意識をしてやってくれたのではないかなと思う」と、浅野監督は最後まで力を尽くしたイレブンを称えていた。

また、この試合をもって現役を引退することになった田中誠は「過去に７失点した試合というのはないので、最後にこういう試合になってしまい、持ってないなというふうに思う」と苦笑まじりに振り返ったが、試合後にはスタジアム全体から「タナカマコ」コールを受け、「僕は福岡に来て３年間でしたが、本当に温かく迎えてもらって、日々、毎試合熱いコール、応援をしてもらえて、本当に感謝している」と述べ、晴れ晴れとした表情で、次のステップへと歩みを進めていた。

以上

2011.12.04 Reported by 前田敏勝