中2日のインターバルが規則的に配置された過酷な連戦がようやく終わった。横浜FCは2勝2敗、富山は1勝2分1敗と五分の星。しかし、似たような順位のチームとの対戦が多かったことを考えると、両チームとも結果には満足していないだろう。一方で、試合内容という点では、両チームともに一定の手応えを感じている状況であり、一週間のインターバルをもらいリフレッシュをして臨むこの一戦は、手応えを結果に変えて、上昇の足がかりにする大事な一戦となる。
横浜FCは、第9節で昇格候補の京都に勝利し、続く第10節岐阜戦で連勝を果たして文字通りの黄金週間にすべく臨んだホーム2連戦(第11節・町田戦、第12節・岡山戦)で連敗を喫してしまうという屈辱を味わった。しかし、前節の北九州戦では、シュート4本ながら2-1で勝利。北九州にボールを長くもたれる展開であったが、集中を切らさずに我慢強い対応で、上位から勝ち星をもぎ取った。この連戦を経てチームが身につけたことは、「チームに共通認識ができた」(山口素弘監督)というように、試合の流れに応じたチームでの意思統一。それは特に守備の面で顕著であるが、時にはかなり低い位置でもいいので割り切って守備ブロックを作って守り切ることができるようになった。そして、攻撃面では山口監督が就任時から磨いてきている「前進するボール保持」を状況に合わせて繰り出せるようになっている。単に守ってカウンターというスタイルではなく、試合の流れを読みながらチーム全体で意思統一した攻守を表現できるようになっている。それは、チームの得点にも現れており、山口監督就任以降での無得点試合は、初戦の第5節・甲府戦と岡山戦のみ。第8節・湘南戦以降は、岡山戦を除き全て2得点をマークしている。大久保哲哉も得点ランキング2位に浮上と、チームとして得点までのストーリができてきたのは大きい。そして、北九州戦では、リードをした後にわざとペースダウンして相手をいなす余裕も見せ始めている。まさに、試合の息づかいを感じそれをコントロールするということができるようになっており、1つ1つのプレーだけでなく試合全体を見た戦い方を進化させるという意味でも、この富山戦は大事な一戦となる。前節、チームはようやく15位に浮上した。その順位をさらに上げていくためには、クラブ全体が上昇に対していかにハングリーになれるかに掛かっている。
対する富山は、今シーズンの目標を10位以内に置いてシーズンに臨んでいるが、現在21位と出遅れている。しかし、安間貴義監督が前節・町田戦の試合後記者会見で「90分間を計算したうえで、その通りに後半はしっかりとボールを奪い攻撃につなげることができた」と振り返ったように、前半はきちんとしたボールへのアプローチで我慢強く戦いながら、後半に運動量を増していくという戦い方をしっかり完遂して、アディショナルタイムでの福田俊介の同点ゴールに結びつけるなど、ゲーム全体の戦い方としては手応えを感じる内容となった。第10節・千葉戦で4バックにしてから守備も安定してきており、守備の安定が試合の流れを見ながらの戦いにつながっていると言ってよい。安間監督3年目のシーズンであり、特徴である細かいパスワークに加えて、ボランチの加藤弘堅がボールを広く展開しゲームの流れを作り、ソ ヨンドクが最後の場面でのアクセントを付けることができる。この2試合(第12節・鳥取戦、第13節・町田戦)でともに16本のシュートを放つなど、フィニッシュまで持ち込む形は十分に持っていると言ってよい。そして、守備では思い切って下がるスタイルは、横浜FCと同じ。富山も守備での粘りをいかに継続させるかがポイントとなる。富山にとっても内容の手応えを結果に変える大事な一戦となる。
フィニッシュまでの形、そして素早い帰陣と粘り強い守備を持っているチーム同士の対戦だけに、試合の流れや息づかいを読む力、そしてもちろん全ての局面で負けない集中力が大きなポイントになる。横浜FC、富山ともに13試合で無失点試合は3試合しかない。富山の前節の失点は相手スローインからのもの。ディテールでの集中を保たないと、いくら試合の流れに応じた戦い方ができるようになっても結果はついてこない。横浜FCは杉山新、富山は福田と大事な守備のピースが出場停止となるが、代わりに出場する選手を含め、チームの全選手が局面で見せる集中にも期待したい。
横浜FCの対富山の戦績は2勝1分4敗と負け越しているだけでなく、ホームのニッパツ三ツ沢球技場(ニッパ球)では一度も勝てていない。さらに、この連戦でもニッパ球では連敗中。横浜FCが上昇の狼煙を本格的に上げるためにも、三ツ沢の丘で行われるこの富山戦は重要な試合となる。
以上
2012.05.11 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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