4月5日（土） 2008 J2リーグ戦 第6節
愛媛 1 - 2 鳥栖　（13:04／ニンスタ／2,617人）
得点者：22' 柴小屋雄一（鳥栖）、55' 谷口堅三（鳥栖）、78' 星野真悟（愛媛）

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連敗中の愛媛は前節の福岡戦で負傷したMF江後に代えて横山を、ボランチ青野の代わりにはキムテヨンがスタメンで出場。そしてツートップには田中と今季初先発の大木を並べ、若林をベンチに置くことで攻撃陣を一新してきた。また、鳥栖はスタメンこそ前節と同じ顔ぶれが並んだが、FW藤田が怪我から復帰して今季初のベンチ入り。望月監督と岸野監督がどこでこの切り札を使ってくるのかも楽しみな一戦となった。

その試合が幕をあけると、序盤は互いに狙いを持った攻撃を展開。「タイミングがいい動き出しでボールが収まっていた」と望月監督が評価したように、愛媛は1.5列目のところで大木がボールを受けて鳥栖のゴールに迫る。4分には大木が落としたボールを右サイドバックの関根がドリブルで突破を図り、中央へ折り返す。ゴール前で待ち構えていたもう一人のFW田中には合わなかったが、11分には鳥栖のクリアボールを拾った大木がMF赤井に落とし、大木はDFラインの裏を突いてゴール前へ。そこに赤井が放り込んであわやという場面を迎えたが、GK赤星のファインセーブに阻まれた。

一方の鳥栖も「サイドで起点を作ろうとした」とFW谷口が振り返ったように、ロングボールを使ってサイドから攻撃を仕掛け、愛媛のゴールを脅かす。6分には大きなサイドチェンジから右サイドをMF高橋がドリブルで仕掛け、さらに13分にはFW金が左サイドを突破。ともにゴールまでには至らなかったが、愛媛も鳥栖も互いに持ち味を生かしつつ、序盤は互角の展開が続いた。

その均衡が崩れたのが前半22分。鳥栖はFKからDF高地が速いボールをDFラインとキーパーの間に放り込むと、DF柴小屋が頭で合わせて先制。そこから試合の流れは一気に鳥栖へと傾く。27分には右サイドを抜け出した金が折り返し、最後はMF清水がシュート。さらに32分には中央から高地と谷口のパス交換で突破し、高地がシュートを放ったがともにGK川北のファインセーブに阻まれた。

「決めるところで決めておかなければ」と岸野監督以下、鳥栖の選手たちも口々に反省の弁を語ったが、逆に1点を失いながらも粘り強く守り、流れを引き戻した愛媛も決めきれない。34分とロスタイムに迎えたビッグチャンスにも愛媛は大木が決められず、さらには後半の頭から若林を投入したもののゴールを奪えないまま、今度は鳥栖が55分にDF日高の折り返しを谷口が豪快に叩き込んで試合を決めた。

「2対0で終わらなければ強いチームにはなれない」と岸野監督は勝って兜の緒を締めたが、チームは今季初の2得点。なかなか追加点を奪えず、これまで勝点2を失っていたことを考えれば大きな収穫といえるし、2点をリードしたことで71分には余裕を持った状態で藤田を投入することもできた。結果的には藤田のベンチ入りに奮起した谷口が決勝点を挙げたことを考えても、攻撃面で得たものは大きい。高地が「みんなのいいところを出しながら今はスムーズにできている」という試合内容が、暫定ながら首位という結果にも表れているのだろう。

逆に、いいところも悪いところも改めて浮き彫りになったこの日の愛媛。毎試合のようにセットプレーから先に失点し、常にビハインドの状態で試合を進める展開はあまりにも厳しい。「点を取られてシュンとなってしまっていた」と宮原も指摘したが、後手に回って試合を進めることで、出せる力も出し切れなくなっている今の状態。それでもゴールを目指してシンプルに繋ぎ、全員の強い気持ちがもたらした今日の1点はまさに試合前に目指していた得点の形だ。セットプレーの課題を克服し、自分達のストロングポイントを強化する時間は十分にある。その成果を2週間後のホームゲーム仙台戦で見せて欲しい。

以上

2008.04.05 Reported by 近藤義博