立ち上がりからガンバ大阪のパスサッカーが炸裂した。
開始わずか1分で迎えたチャンスに放ったMF倉田秋のシュートこそ枠を捉えられなかったものの、その後もリズムよく攻撃を展開。FWレアンドロとFW佐藤晃大がしっかりボールをおさめることで、MF二川孝広、MF倉田がいい形でゴール前に顔を出しながら、攻撃を作り上げていく。これに対してコンサドーレ札幌はそのG大阪の早いパスまわしに振り回され、防戦一方の展開に。最終ラインが集中を切らさずに踏ん張りをみせたことで、ゴールこそ割られなかったが、ボールを奪ったとしても、そこからなかなかボールを保持できず。カウンターで敵陣に持ち込めるような展開とはならない。結果、15分まではずっと自陣で守備に追われる時間が続く。
G大阪が立ち上がりから作った再三のゴールチャンスを思えば、いつゴールが決まってもおかしくない展開の中、先にスコアを動かしたのはそのG大阪だった。16分、左サイドのMF倉田からのクロスをFW佐藤が頭であわせてゴールネットを揺らす。それまでは速いパス回しからゴール前に切り込むシーンが多くみられたが、得点のシーンは逆にシンプルなセットプレーでゴールを奪った。一方的な展開の中で先制ゴールを奪っただけに、これでG大阪が更に勢いづくかと思われたが、札幌が意地をみせたのは、そのわずか2分後のことだった。この日初めて奪ったコーナーキックのチャンス。MFハモンが蹴った左コーナーキックを、DFの守備を振り払ってフリーでゴール前に飛び込んだDF日高拓磨が決めて同点に追いつく。
札幌にこの日初めてのシュートをゴールに結びつけられ試合を振り出しに戻されたG大阪だったが、慌てることはなかった。1-1になってからも、相変わらずG大阪がボールを保持しながら攻勢を強める。そして、迎えた26分。MF二川のパスを受けたFWレアンドロがスーパーなボレーシュートでゴールネットを揺らして勝ち越すと、前半終了間際にも相手DFのクリアミスを拾ったFWレアンドロが落ち着いてコースを突いてゴールを決め、3−1と札幌を突き放して前半を折り返す。
2点のリードを奪って迎えた後半も、G大阪が攻撃の手を緩めることはなかった。立ち上がりから集中力の感じられる展開の中、57分には左サイドDF藤春廣輝のクロスに対し、ニアでFW佐藤が相手DFを引きつけながらコースを作り、中央につめたFWレアンドロが『ハットトリック』を達成する3点目のゴールを決めて4-1に。更に67分にはMF二川の目の覚めるようなミドルシュートでコーナーキックのチャンスを得ると、MF遠藤保仁の左コーナーキックにあわせたのはDF今野泰幸。ファーサイドでの相手DFのクリアボールを、その後ろにつめていたDF今野が頭で押し込み5-1に。その後、71分にはゴール前の混戦から、こぼれ球を途中出場の札幌FW上原慎也に決められて1点こそ返されたものの、83分には札幌のオウンゴールで更に加点し6-2と圧倒する。
そしてダメ押しはアディショナルタイム。それまでも抜群のテクニックを駆使して再三にわたりシュートチャンスに絡んでいたMF家長昭博が、MF倉田とのワンツーからゴール前に抜け出し、利き足である左足ではなく、右足で決めてゴール。7-2と大量得点で試合を締めくくった。
この結果を受け、G大阪は8節以来となる、降格圏を脱出。勝点を見ての通り、16位新潟とは勝点24で並び、17位大宮との勝点差もわずかに1と予断を許さない状況にかわりはないが、ここ2試合で12得点、現時点での総得点数でもJ1リーグで2位という数字が示す『攻撃力』の復活は、G大阪の更なる浮上を予感させるもの。これに対して札幌は、夏場に入って『連敗』のないしぶとい戦いを続けていたが、今日のG大阪戦に敗れて、2連敗。1−2となった時点でシステムを4バックから3バックに変更するなどしながらリズムを見出そうとしたが、そのシュート数が2しかなかったことにも表れているように、G大阪の攻撃サッカーに翻弄され続けた90分だったと言わざるを得ない。この結果、札幌と17位との勝点差は13に広がった。
以上
2012.08.26 Reported by 高村美砂