今年元日に国立競技場で鹿島を破り、クラブ初戴冠を果たした神戸は、クラブとして掲げてきた“アジアNo.1”を狙うための大会、ACLの出場権を獲得。前任のトルステン フィンク監督の下、2月の戦いでは好発進を切った。
初戦の相手はジョホール。この“カタール決戦”には渡航許可が下りず棄権となったマレーシア王者との試合は、5-1で圧勝を飾った。ここで得た勝点3や得点記録はカウントされないが、クラブとして初めて臨んだアジアの舞台、さらにクラブのアカデミーが育て、確かな成長曲線を描いてきた小川 慶治朗のハットトリックなど、決して記憶からは消えない試合だった。
続く韓国・水原三星との試合は初のアウェイ戦。サイドチェンジを駆使した相手の攻撃に手を焼くシーンも見られたが、圧巻のパフォーマンスを見せたのが酒井 高徳。鋭い攻撃参加と素早いプレスバックでチャンスメークし、サイドチェンジを駆使する相手を封殺した背番号24は終了間際、クロスから古橋 亨梧のゴールもお膳立て。粘り強い戦いぶりは神戸のACLでの戦いに大きな期待を抱かせるものだった。
だが、今節が簡単な試合にはならないことは確実だ。相手は広州恒大。ACLを二度制覇し、何度も日本勢の前に立ちはだかってきた。中国スーパーリーグを2011年に初制覇後、7シーズン連続で優勝を遂げるなど圧巻の存在感を示す中国の強豪クラブ。今季のリーグ戦は新型コロナウイルス感染症の影響から変則的なレギュレーションが組まれ、最終的に江蘇蘇寧に敗れて2位となったものの、変わらぬ強さでリーグを戦い抜いた。
元ブラジル代表のパウリーニョをはじめ、主力数人がケガのため戦列を離れたが、タレント性は抜群だ。ブラジル代表経験のあるリカルド グラルをはじめ、エウケソン、アロイージオ、守備を統率するイングランドからの帰化選手であるティアス ブラウニング、韓国代表にも選出されるパク ジス、清水や京都でもプレーしたウ ショウツォン、攻撃力が魅力のウェイ シーハオやヤン リーユーなど、外国籍選手や帰化選手に限らず力のあるプレーヤーは多い。
この“カタール決戦”では、すでに22日に水原三星と対戦して0-0と引き分けた広州恒大。神戸との2試合を含めて中2日でこなすハードスケジュールになっており、先発メンバーは流動的だろう。ファビオ カンナバーロ監督がどのようなメンバー編成で神戸撃破を企図しているのかも大きな注目点だ。
今季の神戸は苦しいリーグ戦を戦ってきた。新型コロナウイルス感染症によるリーグ中断、ACLの延期。訪れた過密日程の中で苦戦を強いられた。トルステン フィンク監督から三浦 淳寛監督にバトンが渡り、ACLを見据えた中での戦いは苦難の連続。それでも、ホーム最終戦だった18日の明治安田J1第31節・浦和戦を終え、主将のアンドレス イニエスタはサポーターに誓いの言葉を述べている。
「カタールに行って、このチームメートたちと大きな結果を残せると私は信じています」 その言葉に突き動かされ、サポーターは日本から最大級のエールを送ることになりそうだ。
[ 文:小野 慶太 ]