直近のパースグローリー戦は序盤に挙げたアダイウトンの1点を守り切り勝利した。先制後も多くのチャンスを作ったが、途中出場の原 大智が数ある決定機を決め切れなかった。グループF第5節の蔚山戦(1-2で敗戦)でも同じ戦況を経験しただけでなく、カタール入りする前の明治安田J1でも同様の決定力不足を露呈して勝ち切れず、一時はリーグ戦4連敗を喫するなど厳しい立場に追い込まれていた。
その根本的な課題は、カタール入り後のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でも顔を出している。ゴールを決める最後の部分は個人の力にも起因してくるだけに、長谷川 健太監督も悩ましいところだろう。その指揮官は、ラウンド16の北京中赫国安戦を前にこう語る。
「(決定力不足は)確かにそのとおりです。ただ、ここ2試合で永井(謙佑)とアダイウトンといったFWの選手が点を取っているのはプラス材料です。[4-2-3-1]でも[4-3-3]でも、最前列の選手が点を取らないとチームは活性化してこない。その意味で、彼らに当たりが出てきたところはポジティブな要素だと思っています」 第5節の蔚山戦では永井が、そして第6節のパースグローリー戦ではアダイウトンが先制点を奪取している。1点の重みが増すノックアウトステージにおいて、彼らストライカーの爆発には指揮官も期待している。
また、約4カ月の負傷離脱から復帰後、カタール入り後の4試合では大車輪の働きを見せている主将の東 慶悟は、チームの決定力不足という課題にこう向き合う。
「やっぱり点を取らないと勝てないスポーツ。僕もひさびさに復帰してチームの中でプレーして、あらためてどう点を取るかは難しいと感じている。でも、これがチャンスがなかったり得点シーンまでたどり着けていないのであればさらに難しい状況だけど、毎試合チャンスは作っている。だからこれはもう、この作業を焦れずに続けていくしかないと思う」 あくまで前向きに、チームのプレー姿勢を語った東。彼にとってはFC東京で迎える二度目のACLラウンド16の舞台である。前回出場の2016年大会は、上海上港相手に第1戦をホームで勝利し、第2戦も後半アディショナルタイムまで同点と、そのままのスコアであれば準々決勝進出を果たせていたが、終了間際に失点を喫し大会から脱落した。
「いまでも覚えているし、引き分けで終われたら次のラウンドに進出できていた。最後のワンプレーで負けた。その前にクラブが出場した2012年大会は僕はまだいなかったけど、そこでもラウンド16で広州恒大に負けた。12年が広州で、16年が上海、そして今回の相手が北京。僕らはラウンド16、そして中国クラブの壁を乗り越えないといけない。ここからの対戦はみんなレベルの高い相手。細かいところが勝負を分ける。普段から監督も言っている“ディテール”にこだわって臨みたい。昨年、僕らはJリーグでもクラブ歴代最高勝点を取った。自信はつけてきている。ここでも壁を乗り越えたい」 ここでもチーム、選手の総意を見事に代弁してみせた主将の東。相手の北京中赫国安は今大会いまだ負け知らず。元ブラジル代表のレナト アウグストを筆頭に、ホナタン ビエラなど助っ人実力者が名をそろえる。激戦必至のラウンド16。FC東京にとっては眼前の難敵と相対するとともに、過去を払しょくするための勝負のときを迎える。
[ 文:西川 結城 ]