念願の舞台だ。名古屋は2016年に明治安田J1で16位に沈み、J2降格の憂き目にあった。なんとか1年でJ1に復帰したものの、2018年から2年連続で残留争いを強いられる。だが、昨季はリーグ最少失点と守備が安定したことで、成績も3位にジャンプアップ。ACLの切符をつかみ取った。
今季の名古屋は、その特長である守備をさらに強化。リーグ戦20試合のうち14試合を無得点に抑える堅い守備を誇っている。果たして、アジア各国の強豪が集うACLでも自慢の守備が機能するのか。まずはそこが注目ポイントになるだろう。
今回のACLの目標を優勝とする名古屋だが、乗り越えなければならない壁は多い。まずはスケジュール。今回のグループステージはタイでの集中開催。16日間で6試合をこなすハードなスケジュールとなっている。マッシモ フィッカデンティ監督は「普段とは違って3日に1回のペースで試合があり、それが6回も続く。選手はピッチに立てば全力を出してしまうので、そこをどのようにマネジメントしていくか。私が特に気をつけなければならないポイントだと思っています」と語る。
そこに追い打ちをかけるのが、高温多湿のタイの気候。バンコクのこの時期の平均気温は30℃くらいで、スコールが発生する可能性がある。名古屋の夏も高温多湿だが、体感的に同じとは限らない。選手のコンディション調整も1つのハードルになりそうだ。そして、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、今大会は滞在するホテルと練習場、試合会場を往復するだけのバブル方式で行われ、食事も個別の部屋で摂ることになっている。隔離された状態での選手たちのメンタルやストレスも心配だ。
「コロナ禍、隔離状態、暑さ、慣れていない国。極限の状態に置かれたサッカー選手がどれだけプレーできるのか、そういったテストをやらされる感覚。あらゆることを想定して、あらゆる状況を瞬時に対応する能力が問われる」(マッシモ フィッカデンティ監督)と、始まってみないと分からないことも多い。ただ、名古屋としては9年ぶりのACLだが、いまいる主力の多くは、他チームで過去にACLを経験している。戦い方や感覚は理解しているはずで、そこは強みに変えたいところだ。
初戦の相手であるJDTは昨季もACLに出場し、開幕から1勝1敗としたところで、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより中断。11月にカタールで行われた集中開催には、マレーシア政府の渡航許可が下りずに参加辞退という扱いになった。その1敗は神戸に喫した1-5というスコア。しかし、2019年には鹿島に1-0で勝利したこともあり、名古屋にとって決して侮れない相手であることは間違いない。
「まずは予選突破という結果を持ち帰りたい。チームとして狙うのは結果だけ」(マッシモ フィッカデンティ監督)。まずはリーグ戦と同様に守備でハードワークし、好スタートを決めたいところだ。
[ 文:斎藤 孝一 ]