昨季のKリーグ1王者、全北現代は2016年以来の優勝を目指しての参戦。このノックアウトステージでは、最も過酷な戦いを勝ち抜いてきたチームでもある。ラウンド16、準々決勝といずれも120分間を戦い抜き、相手はKリーグ1とJリーグクラブ。しかもキックオフ時間はいずれも16時という苦しい戦いを競り勝ってきた。
暑さや疲労を考慮してか、2試合ともじっくりと試合に入り、途中から勝負を懸けてくる戦い方をしている印象がある。主将の左SBキム ジンス、左サイドハーフのキム ボギョンといったJリーグ経験者を筆頭に、技術力と機動力を生かして後方から組み立て、時に素早く背後を突いてくる。
ほかにも東京五輪韓国代表のソン ミンギュ、欧州でのプレー経験があるペク スンホ、突破力のあるマドウ バロウに決定力のグスタボといった外国籍選手も擁しており、前線のタレントは豊富だ。特にグスタボは高さがあり、神戸戦での決勝ゴールのようにほとんどのゴールを頭で決めている。空中戦は最大級の警戒が必要だ。
一方の浦和はここ2試合でいずれも大勝。JDT、パトゥムユナイテッドといった東南アジア勢相手に格を発揮して、着実な勝利を重ねてきた。ハーフタイムや後半の早い段階で選手交代を行いながら勝ち進んできたため、全北現代よりも消耗を抑えられているが、逆にそこが油断となってしまう危険性もある。
西川 周作はパトゥムユナイテッド戦後に「次は本当に気持ちと気持ちのぶつかり合いになる」と気持ちをすぐに切り替え、アレクサンダー ショルツも「次の試合は本当にbig testだと思っている」と、すなわち試練の場になると認識している。
ある意味では、真に厳しい戦いを経ずに準決勝までたどり着いた浦和。しかし、それはラクに勝ち上がってきたという意味ではなく、セントラル開催が埼玉となったことも含めて、クラブ全体のAFCチャンピオンズリーグに懸ける気持ちがここまで押し上げてきたということでもある。正直な話、思いの強さがほかのクラブとは数段違う。
その気持ちがあるからこそ、浦和には慢心も油断もないだろう。リカルド ロドリゲス監督は勝利の度に「われわれはまだ何も成し遂げていない」と強調した。理想的な展開で勝ち上がってきたとはいえ、中2日の連戦で満身創痍となっているのは浦和も同じことだ。
戦術や各自の役割を遂行することは大前提として、最後の勝敗を分けるのは気持ち。岩波 拓也は準々決勝後の囲み取材で思いを語った。
「数は少なくなりましたが、決勝で悔しい思いをしている選手もいるし、決勝で悔しい思いをしてきた先輩もいる。それはサポーターも同じだと思います。もう1回、アジアのチャンピオンを取り返しにいくチャンスがかなり近くにまである。日本のクラブを代表して、韓国のクラブに立ち向かいたい」 [ 文:沖永 雄一郎 ]
