決勝の相手はサウジアラビアのアルヒラル。さかのぼること2019年11月24日、くしくもその日、アジア制覇の夢を絶たれた相手と再び決勝で相まみえることになった。自身二度目となるアジア制覇がついえた2019年の決勝第2戦後、興梠 慎三は「またこの舞台に戻ってきたい」と力強く語っていた。興梠自身は昨季、札幌に所属していたため、チームメートに決勝まで連れてきてもらった立場だが、約4年前に敗れた相手にリベンジを果たしたい思いは強い。今回のアルヒラルとの再戦は、まさに浦和に携わる者たちにとって、あの日の“忘れ物”を取りにいく戦いでもある。
「浦和での初日からACL決勝を意識していた」マチェイ スコルジャ監督はACL決勝を控え、「このチームはアジアのタイトルに向けて、しっかりと戦うことができると信じている」と心境を語った。目下、チームは公式戦11試合無敗。直近の公式戦である明治安田J1第9節・川崎F戦は先制されたものの、終盤に追いつくしぶとさを発揮した。“無敗街道”を突き進むチーム状態は良好だ。
ただ、ACLは戦力がきっ抗しているJリーグとは性質が異なる。特にアルヒラルとの決勝第1戦は、リヤドで開催されるアウェイゲームであることや、相手との力関係を踏まえても、浦和がボールを保持できる時間はそう多くないだろう。浦和としては“専守防衛”も覚悟の上。アレクサンダー ショルツとマリウス ホイブラーテン、そして守護神・西川 周作で形成する中央のユニットを中心に粘り強く相手の攻撃をはね返し、鋭いカウンターで仕留めるプランが現実的か。最終ラインの耐久力がカギを握る中、我慢の時間帯が長くなるかもしれないが、焦れずに時計の針を進められれば、つけ入るスキも十分にあるに違いない。
仮に先制されたとしても、決して気持ちを切らしてはならない。追いついてのドローで第1戦を終えられれば御の字だし、少ない点差でホームに帰還できれば、第2戦での逆転優勝への視界も開けてくる。ホームでの“リターンマッチ”は、赤く染まった埼玉スタジアム2002の大声援をバックに戦える。それは浦和にとって、これ以上ない大きなアドバンテージだ。
なお、勝敗を左右しかねない焦点が外国籍枠の人選だ。ACLで出場可能な外国籍枠は3+アジア枠1。浦和はアジア枠の外国籍選手は不在だが、リーグ戦で主力を張っているアレクサンダー ショルツとマリウス ホイブラーテンは確定としても、残り1枠は4つの選択肢がある。ダヴィド モーベルグ、ブライアン リンセン、アレックス シャルク、ホセ カンテ……。“ラストワン”の外国籍枠を誰にするか。その選択次第で、指揮官の思い描く戦い方の方針が透けて見えるはずだ。
[ 文:郡司 聡 ]