自慢の守備力は健在で、大きな問題はない。課題の攻撃では多くのチャンスを作ったものの、スコアレスドロー。神戸、横浜FM、名古屋がそろって足踏みしたため、優勝戦線からは脱落せずにより混戦となったが、もどかしい戦いが続いている。
「私たちにとって非常に痛い状況ですが、ターゲットはほかにもあり、たくさんの試合が残っています。後悔している時間はありませんので、すぐ中国に向けての準備をして武漢戦に向かいたいと思います」 マチェイ スコルジャ監督は京都戦後の会見でそう語ったが、反省も後悔もする間もなく、ホーム&アウェイ方式による、“真のアジアの戦い”が幕を開ける。
浦和が初戦で相対するのが、中国の武漢三鎮。2013年創設の比較的新しいクラブで、2019年より現在の名称にあらためて乙級リーグ(3部)に参戦。すると、2020年に乙級リーグで優勝して甲級リーグ(2部)に昇格。さらに2021年には甲級リーグでも優勝して超級リーグ(1部)まで登り詰める。そして2022シーズン、開幕スタートダッシュを決めると、終盤は山東泰山の猛追に遭いながらも見事逃げ切りに成功。超級リーグでも優勝を果たし、ACLに初参戦する。
ユース年代の強化を目的として創設された成り立ちもあって、クラブは若手育成に力を入れており、U-9からU-18、U-19までの各年代別チームを整備。スペインなどから外国籍コーチも招聘している。その成果として、2021年には18歳のGKリウ シャオジャンが提携先のバイエルンミュンヘンと契約するに至った。より良い育成プラットフォーム作りと、合理的、科学的で健全なクラブ運営をモットーとしている。
しかし、今季は開幕からつまずき中位に低迷。6月にペドロ モリージャ監督が辞任し、かつて川崎Fの監督などを務めた高畠 勉氏が新たに監督に就任した。高畑監督就任後は持ち直しを見せ、現在は5位まで上昇。直近のリーグ戦は3連勝中と勢いに乗っている。
戦力的には、夏にアデミウソン(現・町田)が抜けたことに加えて、移籍期間ギリギリで中盤の要・ニコラエ スタンチュがサウジアラビアへ移籍。ダウン気味の状況ではあるが、国内リーグで2ケタゴールを挙げているストライカーのアブドゥル アジズ ヤクブ、ウイングのダヴィドソンら外国籍アタッカーには注意が必要。広州恒大(現・広州FC)でプレーしていた選手も多く、チームは初出場ながら個々のACL経験値は高いため、油断は禁物だ。
いずれにしても、浦和としてはディフェンディングチャンピオンの名に恥じない内容と結果が求められる。初戦が中国でのアウェイ戦ということもあってピッチ外の準備にも追われたが、これまで蓄積された高いクラブ経験値で乗り切ってくれるだろう。
[ 文:沖永 雄一郎 ]