振り返れば、横浜FMのここまでの道のりはけっして平坦ではなかった。昨年9月に開幕したグループステージはホームで仁川(韓国)に敗れ、まさかの黒星スタート。第5節も再び仁川にアウェイで敗れ、ノックアウトステージ進出の可能性を高めるには最終節で2点差以上の勝利、もしくは4得点以上での勝利が求められた。そんな崖っぷちな状況の中、ホームで山東泰山(中国)に3-0と会心の勝利を収め、2大会連続となるラウンド16進出を決めた。
準決勝までも山あり谷ありの連続だった。ラウンド16、準々決勝、準決勝すべてのステージで退場者を出した。特に決勝進出のために2点差以上の勝利が条件だった準決勝第2戦・蔚山戦は、30分までに3点のリードを奪ったにもかかわらず、上島 拓巳の退場もあり、前半のうちに2失点。アディショナルタイムを含めると90分間以上、数的不利の状況で戦ったものの、PK戦で勝利して決勝進出を決めた。
おそらく、この決勝2試合も一筋縄ではいかないだろう。横浜FMが出場した2020年以降の二度のACLでは戦ってこなかった西地区のクラブが相手という要素もある。「対策も違ってくる」と話すのは松原 健。それでも、未知の領域に挑み、その先にある歓喜をつかみ取りたい欲が先に立つ。松原はこう続ける。
「日本のクラブを代表して出る。この過密日程の中、本当に簡単なことではないとも感じた。そしてプロである以上、タイトルをいくつ獲るかはすごく重要。そして、(サッカー人生で)タイトルを獲るチャンスは何度も来るものではない。それをつかめるチャンスが目の前にある。それを全力でつかみにいくのがプロ」 松原だけではない。選手時代にUEFAチャンピオンズリーグのタイトルを獲った経験のあるハリー キューウェル監督の熱に感化され、トリコロールの面々のアジアタイトルへの渇望はいままさに最高潮に達している。
その士気高い横浜FMの前に立ちはだかるのがアルアイン。準決勝で今大会ダントツの優勝候補だったアルヒラル(サウジアラビア)を下し、決勝に勝ち上がってきた。特に準決勝第1戦で公式戦34連勝中だったアルヒラルを4-2で撃破したパフォーマンスは鮮烈だった。
エースとして君臨するのがモロッコ国籍のスフィアン ラヒミ。準決勝第1戦でハットトリックを達成し、得点ランクでは11得点でトップを独走している。[4-1-4-1]が基本布陣のアルアインのセンターFWまたは左サイドハーフを担う器用さを備えるアタッカーは、間違いなくチームの中心人物だ。
ただ、そのスフィアン ラヒミは6日に行われたUAEプロリーグではベンチ外。長距離移動となるこの日本遠征に帯同しているかどうか。この大一番を左右する注目点だろう。
[ 文:大林 洋平 ]