チームとして「本当に懸けていた」(鬼木 達監督)中、2023-24シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)はラウンド16で敗退。リベンジとクラブの悲願である“アジア青覇”に向けて臨むAFCチャンピオンズリーグエリート。川崎Fは最高とも言えるスタートを切った。
鬼木監督やキャプテンの脇坂 泰斗が指摘せざるを得なかった、日本ではまず見ることがないほどの劣悪なピッチ。国内の環境とは異なる難しい環境での戦いを強いられた中、アウェイでの前節・蔚山(韓国)戦は1-0の勝利を収めた。
ボール保持率で相手に上回られたが、それは本来ボールを保持することを志向する川崎Fが苦しんだというわけではなく、アウェイでの初戦であることや前述の環境を考慮して許容した結果。加えて、蔚山のボール保持はほとんどが自陣でのものであり、川崎Fにとっては恐れるべき状況でもなく、大きなピンチを迎えることもほとんどなかった。
データでは分からない快勝はアジアでのただの1勝ではなく、これは蔚山とのアウェイゲーム6試合目(グループステージがマレーシアでの集中開催だった2022年大会を除く)にして初勝利であり、クラブの歴史を塗り替える1勝だった。その点も含め、最高とも言えるスタートだった。
そして今節はホームゲーム。最後にホームでアジアの大会を戦ったのは、今年の2月20日に行われたACL2023-24のラウンド16第2戦・山東戦。アウェイ・中国での第1戦を3-2と勝利して迎えた中、2-4の敗戦を喫した。有利な状況で迎えながらも、2戦合計スコアで上回られて敗退と、屈辱を味わった。
あれから約7カ月。国内での戦いを続けながら川崎Fは進化・変化を続けてきた。その中で2024シーズン序盤の主軸であり、山東との2試合で計2ゴールを決めたエリソン、中盤でチャンスメークしていた山本 悠樹は次第に出場機会を減らしていったが、その2人が直近の明治安田J1第32節・新潟戦で大活躍。そんな状況で今大会のホーム初戦を迎えようとしている。
連戦の最中であり、どんなメンバーで臨むのかは予想が難しい。そんな中、何よりも「勝つことがすべて」(鬼木監督)でもある。それでも、山本やエリソンが出場して活躍し、そして勝利をつかめれば、蔚山戦に続いてチームとしてただの1勝ではない、大きな何かを手にできそうな予感もある。
光州はホームで行われた前節で横浜FMを7-3で下した。かつては1部昇格と2部降格を繰り返す市民クラブだったが、2023シーズンはKリーグ1を3位で終え、今大会がアジア初挑戦。初めての舞台でACL2023-24のファイナリストに完勝したのは、イ ジョンヒョ監督の力も大きかった。指揮官は冷静に戦況を見ながらフォーメーションを変えたり、ピッチサイドで情熱的に指示を送り続けたりした。そんなイ ジョンヒョ監督が作り上げたチーム、そして試合の中での変化には要注意だ。
悲願を目指すチームと、アジア初挑戦で躍動しようとするチーム。この試合を制し、連勝スタートとするのは川崎Fか、光州か。
[ 文:菊地 正典 ]