まずは、ここまで圧倒的な強さを披露してきた川崎Fの戦いぶりを振り返りたい。今季は[4-3-3]システムにトライをして、ゴール前にかける人数を増加。なおかつ中央だけではなく横幅を使うなど、多彩な攻撃からチャンスを創出していった。その破壊力をもってして勝点83、総得点88と驚愕の数字を叩き出した。また守備面でも、ボールロストからの即時奪回でハーフコートゲームに追い込み、それに加えて谷口 彰悟とジェジエウによる2CBの厚い壁が相手の攻めをことごとくはじき返し、リーグ2位となる失点の少なさを記録。間違いなく、今後も語り継がれることになる史上最強チームと言えるだろう。
注目したいのは、J1新人最多得点記録に並ぶ13ゴールを挙げた三笘 薫。スピードと足元のうまさを駆使したドリブルで次々とDFを抜き去ってペナルティーエリアに進入するプレースタイルで、最もインパクトを残した選手だ。天皇杯準決勝・秋田戦でも難易度の高いトラップから先制点を奪取して好調を維持している。決勝でも新たな衝撃を見せつけてくれることに期待したい。
一方のG大阪は、9月以降のリーグ戦は12試合負けなしで首位の背中を追いかけた。粘り強く、我慢強く戦うことで積んだ勝点65は例年であれば接戦で優勝争いができる成績。2位に終わったものの評価に値するシーズンだった。ただ、第29節、川崎Fとの直接対決で0-5という今季ワーストの大敗を喫して目の前でシャーレを掲げられた大きな悔しさもある。だからこそ、試合後に「川崎Fにリベンジするには天皇杯の決勝しかない」と倉田 秋が雪辱を誓っていたように、この日のために準備を続け、準決勝・徳島戦は危なげない試合運びで勝利を収めた。二度も同じ光景を見たくはない。強い意気込みを胸にG大阪はピッチ上で戦う。
川崎Fにも負けられない理由がある。今季限りでの現役引退を発表した中村 憲剛のラストマッチだ。中村がいなければいまの自分はないと口にしていた大島 僚太は「ピッチに立てる喜びと今までたくさん教えてもらったことを、僕だけではなくチームメート全員で表現したい。優勝して憲剛さんを送り出せたらなと思っています」と話す。背番号14のプロ生活18年のフィナーレを最高の形で迎えるために、すべてを懸けて勝利を目指す。
果たして、試合終了のホイッスルのあとに歓喜するのはどちらになるのだろうか。1月1日、新国立競技場での熱き戦いを見逃すな。
[ 文:高澤 真輝 ]


