J3所属の鹿児島としては、結果もさることながら内容が問われる一戦となる。直近の明治安田J3では連敗し、2勝2分3敗で9位と伸び悩む。アーサー パパス監督が掲げるボールを圧倒的に支配する自分たちのサッカーを常に追い求める中、ボール保持率では相手を上回ることがほとんどで、ペナルティーエリアへの進入回数も多い。それでも勝ち切れないのは「ボックス内で決め切る力」(アーサー パパス監督)が足りていないからだ。
特に前節・藤枝戦はチームの課題が明確になった。雨で二度の中断があり、トータルで4時間以上を費やした長丁場。ボール保持率は前半から7割近くと圧倒し、数多くのシュートを放ったが、肝心のゴールが生まれなかった。75分、運動量の落ちた時間帯に先制を許すと、選手を入れ替えてリフレッシュを図ったにもかかわらず、逆に意思統一ができないまま足が止まって立て続けに失点。ホームで最もやってはいけない敗戦だった。開幕戦の鳥取戦も終盤の連続失点で逆転負けしており、フィジカル的にもメンタル的にも苦しくなる時間帯、思いどおりにボールを支配できていない時間帯をどうコントロールしていくか。
天皇杯でもカテゴリーが下の相手に対して、ボールは有効に支配できるだろう。その上で質の高いゴールを量産し、2回戦以降の戦い、およびリーグ戦での巻き返しに向けて自信をつけていきたい。藤枝戦で今季初スタメンだった八反田 康平は、「シュートに対する精度、意識、アイディアなどゴールにつながるプレーを増やしていきたい」と語る。今季出場機会が増えている若手の野嶽 寛也は、「苦しい時間帯こそ、自分たちのできることに目を向けて、互いに声をかけ合い、良いパスを出して流れを引き戻せるようにすることが大事。天皇杯はこの1週間で良い準備をして、チーム一丸となって勝ちを目指したい」と意気込みを語っていた。
天皇杯予選決勝の鹿屋体育大戦では、牛之濵 拓、野嶽 惇也、藤枝戦では砂森 和也が負傷交代と主力選手の故障が続く。チームとしては苦しい台所事情だが、アーサー パパス監督は「これまで出場機会のなかった若い選手、ほかの選手がチャンスを生かし、チームの質、幅を広げてほしい」と期待する。
対するMD長崎は長崎県社会人リーグ1部所属で、代表決定戦では同じリーグのライバル・三菱重工長崎SCを3-1で下し、3年連続5回目の出場を勝ち取った。ボランチの表 隆太郎、植木 二朗らを起点とするサイド攻撃を持ち味としている。格上の鹿児島を相手にボールを支配して勝つ展開は予想しづらい。自陣で守備に追われる時間帯が続くことを覚悟し、我慢強く粘り強く守る中で数少ないチャンスを生かして、2年連続の初戦突破とジャイアントキリングを目指す。
[ 文:政 純一郎 ]