FC北陸は天皇杯予選決勝で下克上を成し遂げた。粘り強く守りながら0-0で進め、70分に攻撃の切り札としてスピードのある三ツ井 侑汰と原田 侑瑞樹を投入。75分に三ツ井の左からのクロスに原田が頭で合わせて、値千金の決勝点を挙げた。宮崎 陽監督は「自分たちがチャレンジャーであることを受け入れ、できることを最大限に発揮した。普段感じている悔しさをぶつけて意地を見せてくれた」と選手を称えた。
FC北陸は1、2年生を中心に約30選手が登録されており、天皇杯予選決勝のスタメンは4年1人、3年2人、2年6人、1年2人の構成だった。2種登録で17歳の選手1人も所属している。北陸大は天皇杯には四度出場し、熊本の東出 壮太らプロも輩出。県内外から有望な選手が進学しており、FC北陸にも好選手が少なくない。
FC北陸は攻守のつなぎ目なく連動する『シームレスなサッカー』を目標に掲げている。基本フォーメーションは[3-5-2]。昨年にイタリアのラツィオで研修した宮崎監督が、同クラブのこのシステムに刺激され導入したという。要となるアンカーでプレーする田中 一成が技術とセンスを兼ね備えたキーマン。左ウイングバックの増田 海都は運動量豊富でプレースキッカーも務め、富山第一高OBの高川 恭太が最終ラインでプレーする。
北信越リーグでは現在1分3敗で7位。福井ユナイテッドFCをはじめ格上との対戦が続いているが、忍耐強く守って大崩れしていない。富山が天皇杯富山県予選決勝で5-0で下した富山新庄クラブとは第2節に1-1で引き分けている。宮崎監督は「胸を借り、粘り強く、ひた向きに戦ってほしい。つけ入るスキを与えずにスキを突き、相手を驚かせたい」と話している。
対する富山は5月9日の天皇杯予選決勝をリーグ戦の延長線上に位置づけて、ベストメンバーで臨んだ。石﨑 信弘監督は「チームはまだでき上がっていない」とし、公式戦を通じて攻守の成熟を図るのが狙いだったという。当時と同じく今回もリーグ戦と同じメンバーを起用する可能性が高い。
この強化方針の成果がハッキリと表れたのがリーグ前節・沼津戦だった。先の富山新庄クラブ戦で守りを固めた相手を攻めあぐねた時間帯があったことを反省。ポジショニングを修正した花井 聖らが高い位置で攻撃の起点となり、3-0の完勝につなげている。「守備は自信を持ってやれている。攻撃でも試合を重ねながら継続と修正、新たなチャレンジがうまくできており、もっと良くなっていく感触がある」と花井。今回も収穫を得ながら勝ち進み、リーグ次節・鳥取戦につなげたいところだ。
富山もFC北陸と同じ[3-5-2]を採用している。ハードワークを前提にしながら厚みのある攻守を展開するこのシステムの強みを存分に発揮して、プロの地力を示したい。
[ 文:赤壁 逸朗 ]