今大会は2回戦からJ1クラブが登場する。違うカテゴリーのクラブとの対戦では、上位カテゴリーのクラブが意地を見せるのか、下位カテゴリーのクラブが驚きをもたらすかがいつも見どころとなるが、それが東北のJクラブ同士の対戦ともなればさらに盛り上がるだろう。
岩手県代表として出場している岩手は、明治安田J3で現在4位につける。総得点はリーグ2位タイの16点で、この攻撃力とともに、前へのプレッシャーの強さや速さが目を引くチームだ。就任2年目となる秋田 豊監督の指揮のもと、高い位置で攻撃のスイッチが入ったときにチーム全体が勢いを持つスタイルを構築。体の強さを武器に攻撃を引っ張るブレンネルを筆頭に、相手ゴールに襲いかかる。今大会は1回戦で大山サッカークラブに13-0で大勝し、2回戦にコマを進めた。
直近のJ3第10節・藤枝戦は色摩 雄貴が2得点を挙げ、ビスマルクのJ初ゴールが飛び出すなど4-0の快勝。勢いをつけて仙台に乗り込む。試合間隔が短いため、先発メンバーを入れ替えることも予想できるが、秋田監督がこの一戦に向けてどのような選手を送り込むかに注目したい。
対する仙台はリーグ戦では18位と苦戦。しかし、なかなか勝てずに苦労していた序盤戦とはチーム状態が変わっており、上向きだ。今季から8季ぶりに指揮を執る手倉森 誠監督の下、辛抱強く守備組織を整備。5月に入ってから結果が出るようになってきた。J1中断前の第17節・C大阪戦は1-1で引き分けたが、直近の公式戦4試合は負けなし。負けにくいチームとなってきた。
仙台はGKヤクブ スウォビィクやCBの平岡 康裕、吉野 恭平といった守備陣を中心に自陣で構えて守ることもできれば、相手陣内でのボール奪取からチャンスを作る流れも整備されつつある。短い間隔で試合が続く日程をこなす中、選手を頻繁に入れ替えながらチームを作ってきたことでチーム内の競争も激しくなってきた。岩手の激しいプレッシャーを受けても粘り強く守り、攻撃につなげるためのメンバー構成も多くのパターンが予想される。手倉森監督が「相手を甘く見ないメンタルが非常に大事」と警戒するように、ピッチに立った選手たちが勝負に徹する戦いをできるかどうかが問われる。
この2チームが天皇杯で顔を合わせるのは、2016年の第96回大会の2回戦以来。今回と同じユアテックスタジアム仙台で戦い、激しい打ち合いの末に岩手が5-2で勝利。ジャイアントキリングを演じてみせた。仙台が雪辱を果たすのか、それとも岩手が歓喜を再現するのか。当時とはメンバーも大きく入れ替わったが、あのときよりもさらに熱い戦いを期待したい。
[ 文:板垣 晴朗 ]


