明治安田J2では現在7位につける長崎。シーズン当初から思うように結果が出ずに苦しむと、5月3日に吉田 孝行監督から松田 浩監督への交代を決断。すると、チームは劇的に変貌を遂げた。開幕からすべての試合で失点を喫していたが、松田 浩監督が指揮を執り始めた第13節からは5試合で4完封。4勝1分と負けなしを続け、第12節終了時点で15位まで沈んだ位置から上位陣がおぼろげにも見えるところまで浮上してきた。監督交代前はボール保持をベースとしたスタイルだったが、交代後は組織的な守備をベースとしたソリッドなスタイルに変貌を遂げ、守備も安定。スタイルチェンジが奏功している。
昨年度はコロナ禍による変則レギュレーションのため、天皇杯には参加できなかった。しかし、2019年度はクラブ最高成績となるベスト4まで進出。惜しくも敗れてしまった準決勝でも、鹿島を相手に3-2のクロスゲームを演じている。リーグ戦では監督交代後、好調が続いているだけに、今大会でも良い流れを持ち込みたいところだろう。
対する沖縄SVは沖縄県代表として3年連続3回目の天皇杯出場となる。同大会での過去最高成績は2回戦敗退となっている。初出場だった一昨年は2回戦で広島と対戦し、0-4での敗戦を喫している。昨年は1回戦で鹿屋体育大に0-1で敗れている。今大会は1回戦で福岡県代表の福岡大と対戦。前半の早い段階で先制を許す苦しい立ち上がりとなったが、後半の開始早々にロングスローから東海林 佑飛のゴールで追いつく。延長戦までもつれ込んだ試合は、杉山 颯汰と赤木 直人に得点が生まれ、見事な逆転勝利で2回戦に歩を進めている。
所属する九州リーグでは開幕から無傷の6連勝中。得失点差で2位となっている。2年ぶりとなるJクラブとの対戦でどれだけ自分たちの力が通用するか。沖縄SVにとってはまさにチャレンジとなる一戦だろう。
両者の対戦で注目したいのは、両チームに所属する日本を代表するストライカーの存在だろう。長崎は玉田 圭司。そして、沖縄SVはクラブ創設者であり代表も務める髙原 直泰だ。2006年のドイツW杯に日本代表として参加した両名がピッチ上で再会を果たすのかどうかには多くのサッカーファンが注目するだろう。41歳を迎えても求道者としてうまくなろうとし続ける玉田と、クラブオーナーと選手という二足の草鞋で沖縄に新たな道を開拓しようとしている髙原。カテゴリーを越えたマッチメークがさまざまなドラマを生んできたのが天皇杯の醍醐味だが、この2人の対決が実現すればそれもまた天皇杯を彩るドラマとなるだろう。
長崎がJクラブの意地を見せて沖縄SVの挑戦をはねのけるのか。それとも、沖縄SVが二度目となるJクラブへの挑戦でジャイアントキリングを演じてみせるのか。日本を代表するストライカー2人の存在も合わせて注目の一戦だ。
[ 文:杉山 文宣 ]