磐田はここまでJクラブと一度も当たることがないまま、アマチュア勢相手に3連勝でベスト8に進出。2回戦では北海道十勝スカイアースを3-0で退け、3回戦ではJFLの雄・Honda FCに4-1と圧勝。そして、最も苦しんだラウンド16・ヴェルスパ大分戦は、延長戦までもつれる死闘となったが、ファビアン ゴンザレスの値千金の決勝点で勝利。常に挑戦される難しい立場の中で、波乱を起こさせることなく、順当に勝ち上がってきた。
磐田にとっては、ここからが自分たちの力を試せる“本番”だ。現在、明治安田J2では首位をキープし、J1昇格に向けて順調な歩みを進めている。来季を見据えたときに、今回の一戦は「今までやってきたジュビロのサッカーの攻撃、守備がどこまで通用するか。ここが見られる一番良いチャンスだと思っている」と鈴木 政一監督。ここが最大のモチベーションとなっている。
あくまでクラブが位置づけている最大の目標は昇格。直近のリーグ戦は2試合ドローと足踏みが続いており、3日後にJ2第36節・大宮戦が控えている。そのあとには新潟、京都と昇格に向けた大一番も待ち受けているだけに、メンバーはこれまでと同様にサブ組主体の編成になることが濃厚だ。
サブ組にとっては、貴重なアピールの場となる。特に、リーグ次節はJ2得点ランキングトップのルキアンが出場停止。加えて24日には、小川 航基の負傷も発表されている。その中で、1トップの人選はホットスポットになるだろう。また、ケガで離脱していた森岡 陸の復帰戦というのも楽しみなポイントだ。本人も「復帰して日にちは経っていないですけど、天皇杯も大事な公式戦の1つなので、まずは勝利に貢献できるように頑張りたい」と意気込みを語り、モチベーションを高くして試合に臨むはずだ。
対する大分は、2回戦・ホンダロックSC戦を延長戦の末に勝利し、3回戦では福井ユナイテッドFCを2-0で順当に退ける。そしてラウンド16・群馬戦は、先制される苦しい展開から渡邉 新太と小林 成豪がゴールを決め、120分間の死闘を制した。ここまで二度の延長戦を制して、J1クラブとしての意地を見せてきた。
今季はリーグ戦で18位とJ2降格圏に沈み、J1残留争いの真っただ中と苦しいシーズンとなっている。しかし、リーグ戦の直近3試合は、2勝1分と復調。残留に向けて勢いづいているだけに、天皇杯にもうまく継承させたい。
磐田としては大分がどのようなスタンスで臨んでくるかが、気がかりなポイントだ。ここまでは磐田と同じくターンオーバーしてきたが、今週末はJリーグYBCルヴァンカップの決勝戦があるため、J1リーグ戦が行われない。クラブ史上初のベスト4進出に向けて、リーグ戦の主力を送り込んでくる可能性も否定できない中、片野坂 知宏監督の決断に注目だ。
[ 文:森 亮太 ]