前回大会に続き12回目(前身の愛媛FCしまなみ時代を含む)の天皇杯本戦出場となる愛媛県代表・今治は、県予選決勝でライバルチームの愛媛と戦う予定だったが、新型コロナウイルス感染症の陽性者が複数名に出たことで相手が出場を辞退。結果として労せず県代表の座を手中に収めた。
主戦場とする明治安田J3でも上位をうかがう位置をキープするなど、おおむね好調と言える状態だ。ただ、地域リーグに属する沖縄SVとは2つのカテゴリー差があるとはいえ、何が起こるか分からないのが天皇杯。今治は県予選準決勝で同じく地域リーグのレベニロッソNCに苦戦を強いられており、天皇杯の難しさをすでに痛感している。それだけに、この1回戦でもリーグ戦同様、気を引き締めて臨む必要があるだろう。
今治はクラブ代表の岡田氏が提唱する『岡田メソッド』の下、攻守両面でアグレッシブなスタイルの体現を目指している。橋川 和晃監督が率いる今季のチームも積極的な戦いぶりを見せている。
とりわけ大きな武器になっているのが、チームとしてのハードワークをベースにした球際の激しさと切り替えの早さ。ボールへの強い執着心と果敢なチェックで相手に自由を与えず、逆に相手の間隙を縫うように積極的に攻撃のスイッチを入れて主導権を握る。
ただ、課題はある。チームとして多くのチャンスを作り出しているものの、肝心のフィニッシュの精度が上がらず、決定力不足に悩まされている。一方で守備面の盤石さは際立っており、リーグ戦で4試合連続クリーンシートを達成するなど、リーグ2位タイの失点の少なさを誇っている。攻撃面に“一発”さえ加われば勝利を呼び込む力は十分備えているだけに、決定力不足の解消はいまや遅しと待たれるところだ。
九州リーグを主戦場とする沖縄SVは今治に対し、より挑戦的なマインドで臨むことができるだろう。過去、沖縄SVは二度初戦突破を果たしているが、いずれも相手は大学チーム。Jリーグ加盟を目指すクラブとして、公式戦でのJリーグ勢撃破はクラブにとって1つの歴史になることは言うまでもない。
冒頭でも述べたとおり、沖縄SVのクラブ代表は髙原だが、髙原の役目はそれだけにとどまらない。監督としてもチームを率いつつ、エースナンバー『10』を背負ってピッチにも立つ“三足のわらじ”でチームをけん引する。2015年のクラブ設立から足早に駆け上がり、九州リーグでは2シーズン連続優勝中(2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により開催中止)。今季もここまで7戦全勝と3連覇に向けて邁進しているところだ。
天皇杯沖縄県予選決勝では、PK戦にまでもつれ込んだ熱戦の末に海邦銀行SCを退け、4年連続となる本戦への切符を獲得。今季いまだ負け知らずの勢いを持って、下克上を果たすことができるか。
[ 文:松本 隆志 ]

