今季は神戸から田中 順也、浦和から宇賀神 友弥、昨季J3で得点ランク2位の藤岡 浩介などを獲得し、“J3の銀河系軍団”とも言われた岐阜。しかしシーズンのふたを開けてみると、開幕戦はスコアレスドローとつまずき、ホーム初戦は快勝したものの第6節から3連敗と、サポーターの期待を大きく裏切ってしまった。
このままでは目標であるJ2昇格ができないと判断したクラブは、開幕から7試合を終えたところで監督交代を決断。ヘッドコーチを務めていた横山 雄次氏を監督に就任させた。2017年に栃木をJ2昇格に導いた経験もある新指揮官は、「ヘッドコーチとして成績を出せていなかったことで、後ろめたさもあった」と迷いながらも、「反骨心というか、やってやろうという闘争心が勝った」と監督就任を受諾。初陣となった天皇杯予選の岐阜県サッカー選手権大会決勝で岐阜協立大を5-0で下し、16度目の本大会出場を勝ち取った。
J3第9節・相模原戦では、福岡から加入の新戦力・石津 大介のゴールで先制し、後半には藤岡が追加点を挙げて難敵を撃破。新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た関係で延期された直近の第4節・鳥取戦では、36分にンドカ チャールスが先制点を挙げ、その後も押し気味に試合を進めると59分に藤岡が追加点。さらに、81分に窪田 稜がダメ押し弾と申し分ない展開で、今季リーグ戦初の連勝を挙げた。横山監督体制になってから負けなしと、上り調子でこの天皇杯に臨むことができる。
ただ、相手の中京大も侮れないチームだ。愛知県大会の決勝は、JFLで首位を走るFCマルヤス岡崎との対戦だった。開始1分にCKから先制されたものの、徐々にリズムを作り始め、中盤からボールを奪いに出る守備が機能し始めると、54分に進藤 克樹がドリブル突破からシュートを決めて同点に。76分には川地 功起が右サイドのクロスに合わせて逆転弾を挙げ、2018年以来大会7回目となる本戦出場を決めた。
今回の試合のポイントは経験豊富な岐阜に対して、中京大のプレスがどれだけハマるかどうか。簡単にはがされると、攻撃陣に勢いのある岐阜が優位に試合を運ぶことになるだろう。しかし、逆に中京大の中盤が機能すれば、元日本代表選手が複数いる岐阜でも簡単な試合にはならないはず。勝てばJ1のG大阪との対戦が待っているが、負けたら終わりの天皇杯。どちらがJ1クラブへの挑戦権を手に入れるか。手に汗握る熱戦に期待したい。
[ 文:斎藤 孝一 ]