前回大会の準優勝チームである大分は今季、明治安田J2で「1年でのJ1復帰」を目標に戦っている。コロナ禍とワールドカップ杯開催の影響もあり、JリーグYBCルヴァンカップも含めての過密日程が、リーグ開幕と同時にスタート。11連戦と9連戦をこなし、この試合はそれに続く7連戦の6試合目だ。
約3カ月も続く連戦のため、今季から指揮を執る下平 隆宏監督の戦術もミーティング中心で落とし込むしかない日々の中で、リーグ戦はここまで6勝7分6敗で11位と苦しい状況。負傷者も多発し、限られた戦力で目標達成を目指すため、どうしてもリーグ戦優先の選手起用にならざるを得ない。この試合も、2種登録選手を招集しての戦いになりそうだ。急造布陣になることは避けられないが、直近のJ2第19節・群馬戦から中2日でも最善の準備を施して“格上”の意地を示したい。
一方のFC神楽しまねは、今季より『松江シティFC』からクラブ名を変更。現役時代は鳥取で背番号10をつけて活躍し、「ミスターガイナーレ」と呼ばれた実信 憲明監督がチームを率いて3シーズン目だ。リーグ戦は1勝2分6敗で15位と下位に沈んでいるが、5月22日の天皇杯1回戦・MD長崎戦を2-1で制し、コマを進めた。15日のJFL第8節・ヴェルスパ大分戦に続いて今季二度目の大分遠征で、J2大分を相手にジャイアントキリングを狙う。
FC神楽しまねには、大分に縁のある人物が多数いる。実信監督は現役時代、大分と三度の対戦経験を持つ。2012年には、大分が最終的にJ2の6位でJ1参入プレーオフに回ることとなった際に、結果的にこの試合がのちのプレーオフに回ることに影響した鳥取vs大分の“記憶に残る一戦”に出場している。山本 蓮は鳥取でプレーしていた2016年、J3最終節で大分と対戦し、見事なミドルシュートで自身のJ初ゴールを挙げている。ちなみに、山本のJデビューはその年の当時の大分銀行ドーム(現在の昭和電工ドーム大分)で行われたJ3第3節・大分戦で、この試合に出場すれば“スタートの地”を踏むことになる。また、畝本 諭は大分県出身で、中学時代は大分U-15宇佐に在籍。中津東高時代には主力として全国高校サッカー選手権大会出場も果たし、卒業後はFC中津、ヴェルスパ大分を経て2020年からFC神楽しまねでプレーしている。故郷に凱旋することになれば、おのずとプレーにも力が入るはずだ。
カテゴリーは違えど、過去にチームメートだった選手同士や、印象深い試合で対戦経験を持つ選手が所属する両軍のマッチアップ。そんな天皇杯ならではの楽しみもある中、それぞれの意地を懸けて全力でぶつかり合う熱戦に期待したい。
[ 文:ひぐらし ひなつ ]
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