名古屋は現在、明治安田J1で10位。前節・広島戦では4連勝を狙うも、中2日の日程や長距離移動など厳しい条件が重なったことに加えて、開始早々に守護神・ランゲラックが負傷交代するなどのアクシデントもあり0-1で敗れた。
だが、序盤戦で苦労していた新監督の戦術の浸透も進み、チームは熟成されてきたようにも見える。この天皇杯で勝利することはもちろん、課題である選手層に厚みを加えるため、新しい発見をする場にもしたい。
その中で期待したいのは、名古屋ユースからトップ昇格した今季のルーキーたち。ジョーカーとしてリーグ戦でも起用されていた甲田 英將が負傷のため欠場見込みであることは非常に残念だが、JリーグYBCルヴァンカップBグループ第6節・徳島戦で先制点を挙げた吉田 温紀は、リーグ戦出場に向けたアピールのためにも存在感を示し、チームを勝利に導く活躍をしなければならない。また、同じく徳島戦でプロ初出場を果たした豊田 晃大は、ユース時代は高校1年からレギュラーとして出場し、プレミアリーグWEST制覇や日本クラブユースサッカー選手権優勝などに大きく貢献した俊英だ。チームの攻撃面を活性化できる才能を持っており、連戦中のカップ戦は絶好のチャンス。長い出場時間を勝ち取り、十分に戦えることを証明したい。
ルーキーとは逆に、リーグ戦で出場機会が少ないベテラン勢もこの試合で真価を発揮しなければならない。中でも注目してほしいのは齋藤 学。数々の栄光をつかんできた齋藤だが、名古屋での2年間は不完全燃焼が続いている。Jエリートリーグや練習では、常に選手全員にポジティブな声をかけ、ベテランらしくチームを支えている。こうした努力が実を結ぶ舞台となってほしい。
その名古屋に挑戦する同志社大は、10回目の天皇杯出場。『共創』をチームスローガンに掲げ、攻守においてタフさをベースにアグレッシブでコレクティブなサッカーを展開する。1回戦では福井県代表の福井ユナイテッドFCを1-0で下した。前半は押し込まれる場面もあったものの、66分に右サイドを崩して攻め込むと、シュートのこぼれ球を拾った巽 健太がクロス。東 駿の放ったシュートも一度はGKに防がれたが、こぼれ球をキープして左に流すと、最後は長坂 大陸がしっかりと蹴り込んで貴重な先制点を奪った。83分に退場者を出して数的不利になったが、相手の5倍近い14本のシュートを放つなど圧倒し、2回戦にコマを進めた。
名古屋は2019年の天皇杯で、鹿屋体育大に0-3で敗れた過去がある。失うものがない大学生チームはモチベーションも高く、プロとしてはやりにくい相手であるのは間違いない。そのプレッシャーと責任感をどう勝利に結びつけるのか。
[ 文:斎藤 孝一 ]