6月1日に開催される天皇杯2回戦は、J2とJFLのトップクラスが対戦する好カードとなった。それぞれの意地が、見どころの多い試合内容に結びつくことを期待したい。
ホームスタジアムで戦うのは、この2回戦から参加する仙台。直近の明治安田J2・第19節を終えてリーグ首位に立っており、1年でのJ1昇格を目指している途中にある。以前に昇格を達成したのは2009年で、その年の第89回天皇杯では次々とJ1クラブを倒し、当時のクラブ最高成績であるベスト4まで勝ち進んだ。その再現となるか。なお、J1昇格後の第98回大会では準優勝し、クラブ最高成績を更新している。
仙台は現在のJ2で得点数が『36』とトップで、1試合平均1.89点の攻撃力が特徴だ。富樫 敬真、皆川 佑介といった献身的に走りつつフィニッシュもこなすFWがゴールを重ね、中山 仁斗もケガから復帰した。彼らへパスを供給する遠藤 康や中島 元彦、ドリブルが鋭い氣田 亮真や名倉 巧といった攻撃のタレントがどのように今季初対戦のHonda FCを崩すか、注目したい。
一方、敵地仙台に乗り込むのはHonda FC。昨年創設50周年を迎えた名門はJFLの強豪として名を轟かせている。天皇杯でも長年存在感を発揮しており、並み居るJクラブを撃破することも珍しくない。第99回、第100回大会ではいずれもベスト8に進出。前回大会でも、J3の岐阜とJ1の横浜FMを打ち破った。
過去最高の成績を目指して臨む今大会は、都道府県予選への参加を免除されるアマチュアシードの権利を得て、1回戦から参加。1回戦で奈良県代表の奈良クラブと対戦した。延長戦の終盤までもつれるタフな勝負となったが、延長後半終了間際の120分にゴールを決め、2回戦進出を果たした。
機動力と技術を兼備する選手が多く在籍し、よく走って相手を動かしつつ、その間を縫うようにショートパスをつなぐスタイルがHonda FCの特徴だ。リーグ戦の間に戦うこの天皇杯でも、そのハードワークを変わらず見せてくれるだろう。現在、JFLでは第9節を終えて暫定6位におり、さらに上を目指すためこの天皇杯ではずみをつけたいところでもある。JFLで8年連続ベストイレブンを受賞している鈴木 雄也は、最終ラインでも中盤でもプレーが可能で、ハードな守備も攻撃での決定機演出もこなすタフガイだ。昨季のJFL得点王である岡崎 優希は1回戦で決勝ゴールを決めており、抜群の反応で味方のラストパスをゴールに結びつける。最後尾のGK楠本 祐規は自身の好セーブと味方を動かすコーチング能力の高さを生かし、ゴールを守る。こうした選手たちがジャイアントキリングを虎視眈々と狙っている。
最後に、このカードをめぐる不思議な縁を紹介したい。試合日の6月1日は、ユアテックスタジアム仙台が仙台スタジアムの名称で開場してから25周年を迎える日。当時のJFLで1997年のその日に対戦したのが、ブランメル仙台と本田技研。この2チームは現在のベガルタ仙台とHonda FCだ。こうした偶然も味わいつつ、この試合を楽しみたい。
[ 文:板垣 晴朗 ]


