両チームは今季、J2第8節で対戦済み。試合を振り返ると、開始早々の4分にディフェンスラインの背後へ抜け出した坂本 亘基がDFをかわしてシュートを放ち、熊本が先制に成功する。ただ、攻守に勢いのある熊本に押される中でも、新潟は21分に同点弾を奪取。谷口 海斗が中盤で相手のパスをカットすると、センターサークルの少し前あたりから、GKが前に出ていたのを見計らってロングシュートを放つ。これが見事に決まって1-1。J3時代の2020年に熊本に所属していた谷口にとって、恩返し弾となった。
後半は、新潟がアップテンポな戦いになり過ぎていた前半から改善。後半から投入された高木 善朗がボールを収めて攻撃を落ち着かせ、新潟が自分たちのスタイルで主導権を握った。それでも決定機で仕留められずにいたが、アディショナルタイムに途中出場の鈴木 孝司がゴールを決め、逆転勝利を収めた。新潟としてはこの対戦を踏まえ、集中した入りで先手をとって優位に進めたい。
リーグ戦を見ると、新潟は3連勝中。5月中旬に5名の新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た中でも、出場機会を得た選手がしっかりと活躍して乗り越え、総合力で勝点を積み上げている。横浜FC、水戸、山形という攻撃的なチームを相手に、すべて3-0の完封勝利を収めた。3試合で得た9得点のうち、8得点は本間 至恩、小見 洋太、三戸 舜介、松田 詠太郎ら若きウイングの選手が決めたもの。試合ごとにスタメンが入れ替わる中でも、出場機会を得た選手が結果を出し、それに刺激を受けた選手が次に出場したときに結果を出すという好循環が生まれ、チームの競争を活性化させている。松橋 力蔵監督は天皇杯に向けても、「出場機会が少ない選手が起用される可能性はある。ただ、無条件ではない。普段の取り組み、パフォーマンスを加味して考えたい」とコメント。また新たな力が躍動することに期待したい。
今季から4年ぶりにJ2で戦う熊本は、大木 武監督の下で攻撃的なサッカーを貫いている。J2第14節では横浜FCに1-0で勝ち、開幕から負けなしで首位を独走していた相手に初めて黒星をつけたことでも話題になった。ここ4試合を振り返ると、第16節は大分を相手に2-1で勝利、続く第17節・千葉戦は1-1のドローとなったが、第18節・群馬戦では打ち合いを制して3-2で勝利。直近の第19節・甲府戦も先制されたが、後半開始早々の3枚代えで流れを引き寄せ、同点に持ち込んでいる。この試合のあと、中3日でのアウェイ・秋田戦も控えており、熊本も新たな戦力の台頭が期待される。大卒ルーキーのドリブラー・東山 達稀は新潟県出身。プロとして故郷のスタジアムに初凱旋なるかも注目だ。
[ 文:野本 桂子 ]

