リーグ戦で最後に勝利したのは3月19日の明治安田J1第5節・磐田戦で、以来9試合未勝利。16試合を消化してわずか2勝で14位に沈んでいる状態だ。同じくリーグ戦で下位に苦しんだ2019シーズンは、4回戦でHonda FCに0-2で敗れるなど、『ジャイアントキリングされる側』としても印象が強いのが浦和だろう。昨年も2回戦では富山、3回戦では相模原にいずれも1-0で辛勝と、J3クラブに苦しめられた。
ただ逆に、こうした大会でこそ特別な集中力を発揮するのが浦和の特徴でもある。2018年は監督交代の混乱期でリーグ5位に終わりながらも天皇杯は優勝。昨季も前述のように辛勝が続き、快勝と言える試合はほとんどない内容ながら王者まで登り詰めた。今季もFUJIFILM SUPER CUPで川崎Fを撃破しており、やはりビッグゲームには強いのが浦和だ。
浦和の現状として、1試合平均1失点でリーグ最少5位タイと守備は悪くない。ジョアン ミレッ新GKコーチの指導で、西川 周作をはじめとしたGK陣の技術が大幅に向上。後方からのビルドアップを中心としたボール保持の向上により、相手の攻撃を受ける回数も極端に少ない。
問題はやはり攻撃で、ここまで15得点はリーグワースト5位タイ。決定率が低いというよりは、いまひとつボール保持をチャンスに、チャンスを決定機につなげられないでいる。西川は「GKとしての立場で考えると、一番怖いのはシュート。シュートを打つ姿勢や、グラウンダーの速いクロスを入れてニアでつぶれる選手が少ないということが物足りない部分だと思う。トレーニングでは行っているが、試合に出ていない。みんなでもっと共通意識を持ち、ゴール前で泥臭さを出す姿勢が大事」と分析し、「この状況だからこそ、僕たちにとっては非常に大事な試合」と意気込む。
この試合のあと、代表ウィークによる中断を挟んで浦和の次戦は6月19日。中断前最後のリーグ戦となった前節・福岡戦は0-0に終わったため、なんとしても勝利して「良いリフレッシュ」(西川)状態でチームの立て直しに入りたい。29日の公開練習では大久保 智明、松崎 快、木原 励ら、ここまで出場機会の少ない若手が躍動していた。こういう状況を打破する若い力の台頭にも期待がかかる。
一方の福島は、2016年以来6年ぶりの天皇杯本大会出場。1回戦ではノースアジア大を7-1で撃破し、J3でも現在4位と好位置につけ、勢いがある。特筆すべきは、10試合を消化してわずかに3失点の驚異的な守備力。かといって極端に守備的なスタイルではなく、ボールを保持することで相手の攻撃機会を減らしているのは浦和との共通点でもある。得点はクロスとセットプレーが中心で、それほど爆発力があるわけではないが、高橋 潤哉の動き出しと大武 峻の高さには注意が必要だ。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
