明治安田J2を戦う横浜FCは現在、11勝6分3敗の3位につけている。開幕から負けなしを続けて首位を快走したが、ゴールデンウィーク連戦で3分2敗と急ブレーキ。他チームに対策され、そこを上回れなかったことが大きな要因だった。5バックでサイド攻撃を封じられ、その上でマンツーマンプレスによってビルドアップを阻まれた。さらに守備では、こちらがハイプレスを発動する前にロングボールを蹴り込まれて劣勢に立たされた。
現在はいわばマイナーチェンジの最中。サウロ ミネイロを1トップに置いてシンプルに相手最終ラインの裏を突く攻撃と、守備も「相手を引き込んで要所要所でプレスに行く」(長谷川 竜也)スタイルにトライしている。直近の3試合を振り返ると、J2第18節、第19節と連勝したが、5日に行われた直近の第20節・東京V戦は1-1で引き分けた。そこから中2日で迎えるこの天皇杯2回戦は、選手層を底上げしてリーグ後半戦を戦っていくためにも、出場機会の少なかったメンバーにチャンスが与えられるはずだ。
チームのスタイルが変化しているタイミングだけに、アピールのチャンスとなる。東京V戦後、亀川 諒史が「今週の紅白戦で、サブチームに何もできないくらいにチンチンにされたことがあったからこそ、今日はうまく守れた」と語ったように先発組以外の選手たちも実力は確か。渡邉 千真、松浦 拓弥らJ1での実績豊富なベテランはもちろん、安永 玲央、それに田部井 涼、山谷 侑士ら出場機会の少ない若手、さらには西山 大雅、杉田 隼ら今季未出場の選手たちもチャンスを待っている。また、アカデミーから2種登録されている9名の選手たちの中からベンチ入りする選手が出てくるかもしれない。
一方、企業チームとしてプロを目指さず、アマチュアの最高峰であるJFLで活動するソニー仙台FC。2015年に初のJFL優勝を果たすと、それから昨季まで準優勝1回、3位が2回と、常に6位以内の成績を挙げてきた。天皇杯ではもちろん宮城県代表の常連で、2010年には当時J1の仙台に勝利、2014年には鹿島をPK戦の末に破って3回戦に進出している。今大会は、5月21日に行われた天皇杯1回戦で埼玉県代表の東京国際大FCに3-1で勝利し、2回戦にコマを進めてきた。
今季から監督に就任したのは、J1で新潟と大宮、J2で山形と千葉を率いた鈴木 淳氏。地元の亘理町出身で、現役引退直後の1997~99年にはソニー仙台FCでコーチを務めた経験もある。ここ6年間は日本サッカー協会の指導者養成ダイレクターを務めていた名伯楽が、ひさびさの現場復帰を果たした。
JFLでは現在、2勝2分5敗で14位と低迷しているが、この天皇杯でJ2クラブに勝利することで、良い流れを呼び込みたいところだろう。センターFWの内野 裕太が天皇杯1回戦、JFL第10節・クリアソン新宿戦と2試合連続で2得点を挙げているのは明るい材料。ウイングの佐々木 敦河には突破力があり、同じくウイングを務める藤原 元輝は中盤タイプでラストパスもある。インサイドハーフの秋元 佑太、松本 拓海も得点力がある。
横浜FCとソニー仙台FCは1999年と2000年にJFLで戦っており、戦績は横浜FCの4勝1敗。公式戦では実に22年ぶりとなる対戦。出場機会を求めるプロが勝つか、ジャイアントキリングに燃えるアマチュアが勝つか、勝負の行方に注目だ。
[ 文:芥川 和久 ]
